研究概要 |
ゲノムレベルでの発現制御ネットワーク、蛋白質間相互作用ネットワーク等の解析が、出芽酵母を中心に急速に進んでいる。細胞システム解明のためには、生体高分子を中心とした相互作用あるいは修飾等に関する基本的実験データの収集と、収集されたデータに基づくネットワークとそのダイナミズムの解析が必要である。特に、遺伝子発現制御の根幹である蛋白質-DNA相互作用のシステマティックな実験は未だ行われていない。本研究では蛋白質-DNA相互作用のシステマティックな解析の基礎となる解析手法の開発目的とし、最終的に遺伝子発現制御ネットワークの再構築を行う。本年度の成果として、1)プロモーターチップの作成:出芽酵母inter-genic領域プライマー(6,483領域)を用いて6,050領域断片についてクローン化を終了、ガラス基板を用いたDNAマイクロアレイについては、従来の技術を利用して随時アレイを作成、2)電気化学検出系の微小アレイ系への応用、微小電極系での測定方法のリファイン:電気化学的なシグナル増幅を可能な修飾電極系のリファインについて検討し、電極表面での二重鎖形成が感度良く検出となり,DNA-タンパク相互作用系への展開に図れることが判明、3)転写因子精製分離用コンストラクト作成:転写制御に関わると考えられる遺伝子について、現在保有しているORFクローンを利用して、HIS及びHAタグを導入した発現ベクターを大腸菌及び酵母を宿主として作成、4)発現プロファイル収集及びネットワーク解析システム:破壊株発現プロファイル収集を進め、種々の手法により制御ネットワーク構築、などを得ている。今後、DNA-蛋白質相互作用解析用の網羅的システムとしての微少電極系への早急な展開を計り、蛋白質-DNA相互作用情報の系統的解析データ収集を行う。
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