研究課題/領域番号 |
12206009
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
谷口 寿章 理化学研究所, 翻訳後修飾による動的調節機構研究チーム, チームリーダー(研究職) (10257636)
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研究分担者 |
山内 英美子 理化学研究所, 翻訳後修飾による動的調節機構研究チーム, 連携研究員 (50332292)
松原 守 理化学研究所, 翻訳後修飾による動的調節機構研究チーム, 連携研究員 (90288481)
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キーワード | プロテオーム / プロテオミクス / 蛋白質リン酸化 / プロテインキナーゼC / チロシンリン酸化 / シグナル伝達 / 質量分析 |
研究概要 |
本研究においては、細胞内情報伝達系の中核を担う蛋白質リン酸化酵素によるリン酸化ネットワークを明らかにすることで、情報伝達系の網羅的解析を目指すと共に、機能未知遺伝子の機能を解析することを目的としている。昨年度、理化学研究所播磨研究所内に、二次元ゲル電気泳動から質量分析計による測定、データベース検索までを自動で、かつ迅速に解析するファシリティを立ち上げた。本年度は、様々な生物種のプロテオーム解析を行うことでこのファシリティの評価を行い、リン酸化ネットワーク解析のための手段を探ることとした。1)タンパク質リン酸化解析法の確立 : 三連四重極型質量分析計のペアレント・スキャン法を用いた、リン酸化ペプチドの特異的検出法を確立した。モデルシステムとして、プロテインキナーゼCのδアイソフォーム(以下PKCδ)の細胞内における(in vivo)リン酸化部位を解析した。その結果、少なくとも6カ所のリン酸化部位が同定され、酸化的ストレスにより3カ所のチロシンが、刺激依存的にリン酸化されることが明らかとなった。2)1)で確立した手法を用いて、大規模にリン酸化を解析するためには、まず、個々のタンパク質を出来るだけ多く捉える解析系が必要である。その為に二次元ゲル電気泳動のタンパク質スポットを切出し解析する手法と、タンパク質試料を1次元のSDSゲル電気泳動で分離し、LC/MS/MS法により解析する手法を、分裂酵母を用いて比較した。その結果、二次元ゲル電気泳動では、できるだけ高分解能の解析を行っても、スポット数は増加するが、同定できるタンパク質の数がそれ程増加せず、せいぜい300種類程度のタンパク質が同定できただけであった。一方、細胞破砕液を様々な画分に分け、1次元のSDSゲル電気泳動により分離後LC/MS法により解析したときには、全体で、約1300種類のタンパク質を同定することが出来た。
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