ゲノム情報科学は、膨大なゲノム情報を計算機で効率よく処理するためのデータベースやソフトウェアツールを開発する必要性から生まれた研究分野であるが、近年では扱う対象も、従来のゲノム配列データやタンパク質立体構造データから、遺伝子発現データ、分子間相互作用データ、SNPデータなどにまで急速に多様化し、ゲノム研究やライフサイエンスを効率的に進める道具としても、また、ゲノムや生命に内在する数理的構造を捉える際の理論的基盤としてもその重要性を増している。本課題は、このようなゲノム情報科学の発展とそれを遂行する人材の育成を目標に平成12年度から16年度にわたり実施された特定領域研究「ゲノム情報科学」の5年間の成果をとりまとめるために設定されたものである。 本特定領域研究では、5年間で、計画研究、公募研究あわせてそれぞれ49(10)件、47(13)件、51(13)件、45(13)件、43(13)件(カッコ内が計画研究の数、内数表示)の研究課題が設定され、活発な研究活動を展開してきた。また、これらの研究を円滑に推進するために、総括班の中にオントロジー整備委員会、ソフトウェア高速化共有化委員会、タンパク質高次構造に関する情報流通・予測評価委員会の3つの研究推進委員会を設けて精力的な活動を展開してきた。さらに、本領域では、人材育成・人材発掘を目的として、さまざまな講習会やワークショップおよびバイオインフォマティクスプログラミングコンテストを開催してきた。本領域全体で、上記の研究活動を通して、5年間で約500報の論文が出ている。また、33件の特許が出願されている。さらに、研究の成果の一部はデータベースや解析ソフトウェアの形でインターネットを通じて公開されている。そのサイト数は約80にのぼる。
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