研究課題/領域番号 |
12208002
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研究種目 |
特定領域研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中井 謙太 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (60217643)
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研究分担者 |
丸山 修 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (20282519)
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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キーワード | 局在化シグナル / アミノ酸配列解析 / 知識発見科学 / 膜タンパク質 / トポロジー形成能 / 低疎水性貫通部位 |
研究概要 |
1.蛋白質のN末端領域に存在する代表的な局在化シグナルとして、シグナルペプチド、ミトコンドリア移行シグナル、葉緑体移行シグナルの3つが知られている。それらの予測問題では、論文値によれば、ニューラルネット法に基づくTargetPというプログラムが最高の能力をもつ(植物で85%、非植物で90%)。しかし、一般にニューラルネット法は、高いパターン認識能力を示すものの、ネットワークが認識している特徴の解釈が難しいという問題がある。そこで、我々は、十分高い識別能力を持ちながらも、なるべく直感的に理解しやすい局在化シグナルの配列上の特徴を発見することを目指して、シグナルの識別能力を指標に判別ルールの形で質のよい特徴量を探索した。その結果、シグナルペプチドでは最先端部を除いた20残基ほどの領域の平均疎水性値が高いことが重要で、ミトコンドリア・葉緑体移行シグナルでは共に酸性のアミノ酸が少ないことが重要であり、中でもミトコンドリア移行シグナルが、より塩基性の残基を多く含む傾向があることがわかった。さらに、ミトコンドリア・葉緑体移行シグナルは共にアルギニン残基が大体両親媒性αヘリックスを形成するようなパターンをもち、ミトコンドリア移行シグナルでは、リジンも含めた塩基性残基の両親媒性も重要であった。これらの特徴に基づく簡単なルールによって、高い識別能力(植物で84%、非植物で88%)が得られた。 2.既知の内在型膜タンパク質の貫通部位は、疎水性のアミノ酸が多く存在するために、通常容易に検出できるが、複数の膜貫通部位をもつ場合には、しばしば平均疎水性の低い貫通部位が存在し、その一方でループ領域の中にはかなり平均疎水性の高い領域が存在するので、両者を正確に識別できれば、膜タンパク質構造の予測精度向上が期待できる。そこで複数貫通型膜タンパク質の膜貫通部位はそれぞれ固有のトポロジー形成能力をもっているという、最近実験により提唱されている考え方を、膜タンパク質データベースの配列情報解析によって検証することを試みた結果、この説をより一般化された立場から支持する結果を得た。
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