研究概要 |
複雑な確率的変動や非定常性を考慮にいれて遺伝子・タンパク質ネットワークの数理モデルを拡張するとともに,ロバストな人工遺伝子ネットワークの基本部品,例えば,スイッチ,振動子,センサーなどの実装モデルを具体的に設計することを試みた。さらに、遺伝子・プロモータセットからネットワーク構造に適合する要素を選択する方法を開発した。遺伝子ネットワークの推定に関しては、より精度の高い推定アルゴリズムと対話的修正方法を実現した。また、抽象的な遺伝子ネットワークと実際の系との対応づけを考慮したモデルを提案した。具体的には以下の成果があげられる。 (1)遺伝子ネットワークの推定方法を応用してより複雑な発現系のシミュレーションシステムを構築した。さらに対話的な推定手法の核となる遺伝子ネットワークの可視化手法と推論方法実現した。 (2)これまでに確立した手法、特に揺らぎの多変量解析と確率ネットワーク解析の手法を実際の遺伝子ネットワークの解析や人工遺伝子ネットワークの設計に適用可能なように拡張し、遺伝子ネットワーク内で揺らぎが抑えられるロバスト性の一般的メカニズムを明らかにした。 (3)タンパク質およびmRNA発現データからのネットワーク推定を行った。系が必然的に有するダイナミカル・ノイズや、あるいはその影響が事前には決定できないような弱い摂動等によって、摂動効果を得ることが可能であるかの理論的基盤を整理し議論を行った。
|