高度データベースの構築と検索

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12208007
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 五斗 進 京都大学, 化学研究所, 助教授 (40263149)
• 研究分担者: 奥野 恭史 京都大学, 薬学研究科, 助手 (20283666) ; 佐藤 賢二 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教授 (10215783) ; 阿久津 達也 京都大学, 化学研究所, 教授 (90261859)
• キーワード: 化合物構造比較 / 糖鎖構造データベース / グラフトポロジー / 統合データベース / タンパク質立体構造予測 / 文献からの知識抽出 / タンパク質間相互作用予測 / グリッドコンピューティング

研究概要

本研究では、高度な検索機能を備えた細胞レベル情報データベースを開発するために、ゲノムから得られる遺伝子やタンパク質の情報だけでなく、生体内で働く様々な化合物(低分子代謝物や糖鎖)の情報を融合するための情報技術を開発している。また、統合化したデータベースから新たな知識を発見するための情報技術開発も進めている。
ゲノム情報と化学情報の融合という観点からは、グラフとして表現した化合物を比較して類似度を計算する手法を開発し、類似化合物を生成する酵素遺伝子のパスウェイ上やゲノム上での相関関係を明らかにした。また、糖鎖構造のデータベース開発も進めており、糖鎖合成経路の解析などに応用している。
統合データベースからの知識発見アルゴリズムの開発という観点からは、代謝系を「化合物を頂点としたグラフ」、「酵素を頂点としたグラフ」という2つの見方をした場合に、両者のグラフ構造に関する新たな性質を発見した。また、配列データからのタンパク質立体構造推定のために、距離に関する制約のもとでプロファイル型のタンパク質スレッディングを行う二種類のアルゴリズムを開発し、従来法より予測精度の向上を得た。
知識発見のためのデータ統合化技術の開発という観点からは、大規模なゲノムデータベースを分散管理する手法として、グリッドコンピューティングを用いたゲノムデータベースの管理および検索に関する研究と、分散環境に適した遺伝的アルゴリズムの実装に関する予備的開発を行った。また、ゲノムデータベースから抽出するオントロジーを用いて文献を処理し、物質間の関係を抽出するためのテンプレートを自動的に生成する手法を改良した。

研究成果

• [文献書誌] Kanehisa, M., Goto, S., Kawashima, S., Okuno, Y., Hattori, M.: "The KEGG resource for deciphering genome"Nucleic Acids Research. 32. D277-D280 (2004)
• [文献書誌] Hattori, M., Okuno, Y., Goto, S., Kanehisa, M.: "Development of a chemical comparison method for integrated analysis of chemical and genomic information in the metabolic pathways"Journal of the American Chemical Society. 125. 11853-11865 (2003)
• [文献書誌] Hayashida, M., Ueda, N., Akutsu, T.: "Inferring strength of protein-protein interactions from experimental data using linear programming"Bioinformatics. 19. ii58-ii65 (2003)
• [文献書誌] Akutsu, T.: "Efficient extraction of mapping rules of atoms from enzymatic reaction data"Proceedings of the 7th International Conference of Computational Molecular Biology. 1-8 (2003)
• [文献書誌] Pham, T.H., Satou, K., Ho, T.B.: "Prediction and analysis of β-turns in proteins by support vector machine"Genome Informatics. 14. 196-205 (2003)
• [文献書誌] Clemente Litran, J.C., Defago, X, Satou, K.: "Asynchronous peer-to-peer communication for failure resilient distributed genetic algorithms"Proceedings of the 15th IASTED International Conference on Parallel and Distributed Computing. 2. 769-773 (2003)