これまでに開発した遺伝子間相互作用推定プログラムを並列クラスターコンピュータに実装し、各プロセスのタスクを制御、管理するGUIプログラムを設計・開発した。すなわち、これまでに開発した遺伝子ネットワーク推定システムにプロセスの制御、推定条件のGUIでの入力、推定結果の可視化を組み入れた並列クラスターを用いた統合解析システムを開発し、公開に向けて、インフラ整備を行った。また、実験データ(遺伝子発現プロファイル)を再現できる複数の遺伝子ネットワークからどの相互作用が重要なのかを導き出すための手法を開発した。すなわち、推定された各ネットワークのすべての相互作用係数に対し感度解析を行う。推定値に対し1%の変動を与え、その変動によって遺伝子発現のタイムコースがどの程度変化したかを数値化し、正規化する。その結果、複数の遺伝子ネットワークのすべてに出現する共通の相互作用(2つの遺伝子間の相互作用を+、-、ゼロで分類)の感度が、各ネットワーク構造に固有の非共通の相互作用の感度よりも有意に高かった。すなわち、共通構造の中にタイムコースを再現するのに重要な相互作用が含まれていることになる。そこで、並列クラスターを用いた統合解析システムに共通構造抽出モジュールを付加し、感度解析を自動的に行うようにした。これにより、ユーザはインターネットを通じて、並列クラスターを用いた統合解析システムにアクセスし、遺伝子発現プロファイルのタイムコースを入力すると、統合解析システムから、そのタイムコースを再現する複数のネットワーク構造、共通構造、感度解析結果が出力されるようになった。
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