研究課題/領域番号 |
12209001
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井原 康夫 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60114386)
|
研究分担者 |
桝 正幸 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
津本 忠治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50028619)
丹治 順 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10001885)
塚田 稔 玉川大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80074392)
荒井 啓行 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30261613)
|
キーワード | 神経軸索伸長 / 沈黙シナプス / アルツハイマー病 / 画像化 / 遺伝的危険因子 / ポリグルタミン病 / 治療 / 高次機能 |
研究概要 |
「先端脳」の最終年度も、引き続きインパクトの高い優れた業績が多数出版された。各項目分野において若干の差はあるが、全体としては、先端というにふさわしい研究は加速しながらさらに進展したと判断してよいだろう。以下に特記すべき成果を羅列する。A01の貝淵弘三(名大・医学系研究科)は、CRMP2が神経細胞の極性を生み出す分子メカニズムを次々と明らかにした。とくに今年度は、GSK3βによるCRMP-2のリン酸化が軸索伸長をコントロールしていることを明らかにした。A03の西道隆臣(理研・脳科学総合研究センター)は、アミロイドβタンパク沈着の特異的なリガンドを開発し、MRIのよる画像化に成功した。現在PETによる画像化の進歩が停滞しているので、今後期待される方向性と考えられる。また西道はソマトスタチンによってネプリライシンが活性化されることを見出し、あらたな治療法となりうることを示した。 またこの最終年度はアルツハイマー病危険因子の同定を担わされたゲノム班にとって記念すべき年である。総括班内に設けられたゲノム班は昨年度までにアルツハイマー病(AD)の診断基準の統一を諮り、その基準に基づいて全国レベルでサンプルの収集を図った。その結果、AD,controlそれぞれ2,000弱の血液サンプルを得ることができ、このサンプルを新潟大学脳研究所センターで解析した。まず第19染色体のApoE遺伝子の近傍の詳細なマップを作成した。その経験に基づき、現在焦点となっている第10染色体に存在するとされる危険因子の同定を試みた。3つの遺伝子(IDE,αcatenin,PLAU)が候補として挙がっており、未だに同定がついていなかった。われわれは、ApoE3/3のADおよびcontrol casesを用い解析した(ApoE4はADの非常に強い危険因子であるので)。その結果、αcatenin遺伝子のintronのSNIPsに危険因子活性がおちることをつきとめた。以上の成果は近く発表の予定であるが、わが国ではじめてのnation-wide studyであり、かつ体系的にSNIP解析を行い同定された危険因子ということで特記すべきものである。
|