推論過程を力学系に変換する基礎理論の構築を行なった。特に今年度は、推論の中でも演釋推論についての変換理論を構築した。このような推論は最も広い範囲で定式化すれば、カテゴリーからカテゴリーへのファンクターとしてとらえられる。最も単純を場合として、集合から集合への写像を考えた、典型的な推論である三段論法は、写像の合成と考えられる。この観点から、推論を結論を前提にひき戻す反復操作を許すことで力学系として定式化できることが分った。このようにしておくと推論過程をニューラルネットで表現することが可能になる。ここで得られた結果を、認知実験タスクに応用し、実験が何を示し得るかの理論を構築することを考えた。ある種の実験を完全に分析することが可能なところまで理論を発展させたいと考えている。
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