研究分担者 |
小野寺 理 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (20303167)
清水 潤 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40260492)
後藤 順 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (10211252)
小宅 睦郎 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70313559)
成瀬 聡 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (70313541)
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研究概要 |
ポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートの異常伸長によって発症する疾患は,歯状核赤核・淡蒼・球ルイ体萎縮症(DRPLA)を始めとして現在9つの神経変性疾患が見いだされており,神経細胞の変性に関して共通の発症機構が存在するものと考えられる.本研究の目的は,伸長ポリグルタミン鎖を有する変異タンパクの核内集積に伴って,転写障害が生じ,その結果として神経細胞の機能障害が生じることが,ポリグルタミン病に共通する病態機序であるかどうかを明らかにし,その研究成果を基盤として,ポリグルタミン病の治療法を開発することにある.培養細胞モデル系を用いて,これまでに伸長ポリグルタミン鎖が転写coactivatorであるTAF130と結合すること,さらに,CREB-依存性転写活性化を強く阻害すること,CREBのリン酸化も強く阻害されることを見出した.DRPLAトランスジェニックマウスの脳の遺伝子発現プロファイリングによってもcAMP応答遺伝子群の選択的なdownregulationを見出した.伸長ポリグルタミン鎖によるCREB-依存性転写活性化の阻害は細胞内cAMPレベルを上昇させることあるいはhistone deacetylase阻害剤により可逆性に回復することを見出し,治療法開発の可能性を開いた.DRPLAトランスジェニックマウスについては,これまでに,同一のintegration siteで,伸長ポリグルタミン鎖が,76,96,113,129と4種類のものを確立し,凍結受精卵作成による供給体制を構築した.これらのマウスは,CAGリピート長に依存する表現型を示し,病態機序解明研究,治療法開発研究に有用であると考えられる.
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