研究概要 |
ポリグルタミン鎖をコードするCAGリピートの異常伸長によって発症する疾患は,歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)を始めとして現在9つの神経変性疾患が見いだされており,神経細胞の変性に関して共通の発症機構が存在するものと考えられる.本研究の目的は,伸長ポリグルタミン鎖を有する変異タンパクの核内集積に伴って生じる転写障害の機構を明らかにすると共に,その研究成果を基盤として,ポリグルタミン病の治療法を開発することにある.統計学的解析については,予備的検討を行い,2-way ANOVAによる解析方法を確立した.その上で,時間依存性,CAGリピート長依存性に遺伝子発現が有意に変化する遺伝子を検索した.その結果,DRPLAトランスジェニックマウスモデル(Q129)マウス4週齢で有意にdown-regulationされている遺伝子として54遺伝子,12週齢で有意にdown-regulationされている遺伝子として92個の遺伝子が検出された(p<0.05).さらに,CAGリピート長依存性に発現が変化する遺伝子を解析する目的で,Q76,Q113,Q129の3種類のDRPLAマウス(変異DRPLA遺伝子を同一のintegration siteで,単一コピーで有する)を用いて,4週,8週,12週で詳細な遺伝子発現プロファイリングを行い,2-way ANOVAに基づき,CAGリピート長,時間依存性に発現が有意に変化する遺伝子を,多数同定した.この発現量が時間依存性,CAGリピート長依存性に低下する遺伝子群の中には,c-FOS、EGR-1,preprosomatostatin,neuropeptide Yなど,CERB-依存性転写活性化が関与する遺伝子が含まれていた.
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