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2003 年度 実績報告書

小脳による運動学習の分子基盤

研究課題

研究課題/領域番号 12210011
研究機関京都大学

研究代表者

平野 丈夫  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50181178)

キーワード運動学習 / 小脳 / シナプス / 可塑性 / グルタミン酸受容体 / GABA / 眼球運動 / 運動失調
研究概要

記憶・学習の細胞機構としてシナプスにおける長期的な情報伝達効率の変化であるシナプス可塑性が考えられている。小脳皮質唯一の出力細胞であるプルキンエ細胞では、興奮性シナプス入力の長期抑圧と抑制性シナプス入力の脱分極依存性増強という2種類のシナプス可塑性が起り、それらが運動学習の基盤と考えられる。本研究では、これら2種類のシナプス可塑性の発現・維持・制御の分子機構を解明し、これら可塑性が小脳皮質内での情報処理および個体行動の制御においてどのような役割を果たしているかを明かにすることをめざしている。今年度の研究では、小脳プルキンエ細胞で特異的に発現しており長期抑圧発現に必要であるδ2サブユニットを欠損したミュータントマウスの運動制御異常の原因を解析し、以下の結果を得た。δ2欠損マウスでは10Hzのリズムを有する不随意運動が認められ、それが運動失調の一因になっていると考えられる。生体のδ2欠損マウス小脳のプルキンエ細胞活動を記録したところ、野生型マウスとは異なる10Hzのリズム活動を伴う活動電位発火パターンが記録され、それが不随意運動の原因になっていると推定された。次にδ2欠損マウスプルキンエ細胞で10Hzのリズム結果が生じる機構を調べ、δ2欠損マウスにおいてはプルキンエ細胞に対する下オリーブ核ニューロンからの登上線維入力の影響が増大していることを示す結果が得られた。下オリーブ核ニューロンは元来10Hzの自発性リズムを持っているが、野性型マウスではこのリズムが運動に直接反映することはほとんどない。δ2欠損マウスにおいては、登上線維のプルキンエ細胞への多重支配や平行線維入力の減少さらには学習障害により登上線維が伝える誤差信号が増加することにより、プルキンエ細胞活動に対する登上線維の影響が増加して、プルキンエ細胞活動に10Hzのリズムが生じるようになったと推測される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Minami, I et al.: "Long-term potentiation of mGluR1 activity by depolarization-induced Homerla in cerebellar Purkinje neurons."Eur.J.Neurosci.. 17. 1023-1032 (2003)

  • [文献書誌] Coesmans, M. et al.: "Mechanism underlying cerebellar motor deficits due to mGluR1 -autoantibodies."Ann.Neurol.. 53. 325-336 (2003)

  • [文献書誌] Kitano, J. et al.: "Direct interaction and functional coupling between metabotropic glutamate receptor subtype 1 and voltage-sensitive Cav2.1 Ca^<2+> channel."J.Biol.Chem.. 278. 25101-25108 (2003)

  • [文献書誌] Murai, N. et al.: "Vestibular compensation in glutamate receptor delta-2 subunit knockout mice : dynamic property of vestibule-ocular reflex."Eur.Arch.Oto-Rhino-Laryngol.. 65. 82-86 (2004)

  • [文献書誌] Kawaji, K. et al.: "Dual phases of migration of cerebellar granule cells guided by axonal and dendritic leading processes."Mol.Cell.Neurosci.. In Press.

  • [文献書誌] Yoshida, T. et al.: "Oscillating Purkinje Neuron Activity Causing Involuntary Eye Movement in a Mutant Mouse Deficient in the Glutamate Receptor δ2 Subunit"J.Neurosci.. In Press.

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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