研究課題/領域番号 |
12210014
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
津本 忠治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50028619)
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研究分担者 |
内山 安男 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10049091)
祖父江 憲治 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20112047)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2004
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キーワード | 大脳 / 視覚野 / 発達 / 脳由来神経栄養因子 / シナプス可塑性 / GABAニューロン / 緑色蛍光タンパク質 / 長期抑圧 |
研究概要 |
本研究では主に、大脳皮質神経回路の入力依存的発達に脳由来神経栄養因子(BDNF)がどのように関与し、そのメカニズムは如何なるものであるかを明らかにしようとした。平成12、13年度は視覚野にみられる眼優位円柱の発達に関与するかどうかを調べた。その結果1)眼優位円柱を拡大する作用があることを見出した。また、2)BDNFは神経活動によってシナプス前より放出されシナプス後細胞に取り込まれて機能を発揮することも発見した。神経回路の入力依存的発達にはシナプス長期抑圧(LTD)が関与していると想定されているので平成14年度はLTDとBDNFとの関係を調べた。その結果、3)脳を切り出した標本ではBDNFはLTDを阻止すること、及び4)生理的状態では大脳に内因性BDNFが存在するのでLTDは生じにくくなっていることを見出した。大脳皮質神経回路の入力依存的発達には抑制性伝達物質GABAが関与していると考えられているが、平成15、16年度は、BDNFが、GABAニューロンの発達にどのような影響を与えるかをGABAニューロンが緑色蛍光を発するGAD67-GFPノックインマウスを使って調べた。その結果、5)BDNFは慢性投与した場合、GABAニューロンの細胞体や樹状突起の発達を促進し、また6)機能的にはGABA性シナプス伝達を強化することを見出した。GABAニューロンは自らBDNFを合成できずシナプス前の興奮性ニューロンが活動した時に放出されるBDNFに依存しているので、以上の知見により大脳皮質神経回路発達の入力依存性はGABAニューロン発達のBDNF依存陸によって主に生じていることが明らかとなった。その他7)シナプス可塑性において重要と思われる新規postsynaptic density足場タンパク質を同定し、また8)神経回路発達期にみられる神経細胞死におけるリソソームカテプシンの役割を明らかにした。
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