研究課題/領域番号 |
12210018
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
池田 穣衛 東海大学, 総合医学研究所, 教授 (50266467)
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研究分担者 |
田中 一則 東海大学, 医学部, 助手 (10338767)
秦野 伸二 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (60281375)
大須賀 等 東海大学, 総合医学研究所, 講師 (60203775)
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キーワード | ハンチントン病(HD) / CAGリピート / 神経細胞死 / HD遺伝子転写制御 / HDモデルミニブタ |
研究概要 |
本研究は、1)HD遺伝子発現調節の分子機構解明、及び2)変異型porcineハンチントン病(HD)遺伝子を用いて作出したHDモデルミニブタによる疾患の分子病態解析の2つの研究を通して、選択的神経細胞の変性(死)を伴うHDの分子機構解明と予防・治療法開発の糸口を得ることを目標とする。 HD遺伝子転写調節領域結合タンパク質の機能解析では、yeast One-hybrid screening systemを用いて得られた2つの新規HD遺伝子転写調節領域結合タンパク質のアミノ酸配列解析により、これら因子が類似のドメイン構造を有していることが判明し、同じファミリーに属するタンパク質であることが示唆された。ドメイン領域変異体を用いた細胞内局在の解析から、これらの因子が核-細胞質間を移動するシャトルタンパク質としての特徴を有していることが明らかとなった。また生化学的な解析からは、特に両因子間で高度に保存されたC末領域が新規DNA結合ドメインであったこと、さらにこのDNA結合ドメインがHD遺伝子転写調節領域中のユニークな7bpの配列を認識することを明らかにした。この配列は13bpのスペーサー配列を挟んで3つ並んで位置しており、このユニークな構造が2つの因子との結合には重要であり、そしてHD遺伝子転写調節領域における新規シス調節領域となっていると考えられる。現在HD遺伝子転写調節領域結合タンパク質のさらなる生化学的・分子生物学的な機能解析を行っている。この研究に関しては、当初の研究計画通り進行しており、得られた成果は治療方法開発に向けての糸口となり得るものと期待している。 また、本研究において確立した2系統の変異型HD遺伝子導入ミニブタ(多コピー数導入と単一コピー導入個体)は、現時点では顕著な行動異常は観察されておらず、持続的に行動観察を行っている。一方、錐体外路系の異常によると思われる旋回運動を呈した変異型HD遺伝子導入ミニブタ雄(F0)1個体に関しは、この個体の自然交配が不可能であったことから、現在この個体由来の体細胞核移植によるクローン個体作出を試みている。
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