研究概要 |
特定な方位の線条に反応する細胞が第一次視覚野に方位優位性コラムを作りながら集まっている。本研究は方位優位性コラムと視覚経験との関係の解明を目指すものである。 麻酔したネコに、0,22.5,45,67.5,90,112.5,135,157.5度方位の縞模様を刺激として提示し、それぞれに対する反応を内因性光計測法によって記録した。個々の方位に優位的に反応したコラムの大きさを計るために、個々の反応マップはブランク刺激を呈示した時に記録した皮質画像と比較した。各々のピクセルにおいて光強度の平均値を比較し、統計的なパラメータであるt値を計算した。得られたt値を対応するピクセルに戻し、刺激ごとにtマップを構成した。皮質上活動領域の評価はこのtマップによって行った。測定には、605nmの光を用い、Optical Imaging 2000の計測システムを用いた。 異なる方位刺激によって引き起こした皮質領域の面積は水平・垂直の0及び90度でピークになり、45及び135度で最も少なかった。これは、水平・垂直の方位を処理する細胞はより多いことを示唆する。水平と垂直の<0度+90度>によって引き起こした平均面積は測定領域の51.2%に占めた。斜め方向の<45度+135度>は43.8%の皮質領域を引き起こした。平均面積には統計的に有意差が認めた(p<0.0001)。また、水平の方位に誘発された領域の平均面積は垂直より有意に大きかった(p<0.006)。 本研究によってはネコの視覚皮質において水平・垂直に方位する輪郭を処理するために、より多くの神経回路が関わっていることを明らかにした。水平・垂直方位と斜めの方位間に差をもつような方位優位性コラムの形成について、生後間もない仔ネコの視覚環境をコントロールし、更に検討する必要がある。
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