研究課題/領域番号 |
12213001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高田 賢蔵 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (30133721)
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研究分担者 |
丸尾 聖爾 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (70292018)
岩切 大 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (10307853)
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キーワード | EBウイルス / 胃がん / EBER / LMP2A / 上咽頭がん / IGF-1 / トランスフォーメーション / アポトーシス |
研究概要 |
EBVの胃がん発生における役割、さらには発がんの分子メカニズムを明らかにすることを目的として研究を行った。 1.上咽頭がん由来細胞株C666-1はEBV関連の上皮性がん由来で唯一のEBV陽性細胞株である。C666-1細胞の増殖がインシュリン様増殖因子IGF-1抗体により顕著に抑制されることを明らかにした。EBV陰性胃がん細胞株へのEBV感染によるIGF-1誘導・増殖促進、EBERがIGF-1発現を担っていること、EBV陽性胃がん組織におけるIGF-1発現の知見と併せ、EBV陽性胃がん組織においてIGF-1がオートクライン増殖因子となっていることが示唆された。 2.正常細胞に近い形質のヒト小腸上皮由来Intestine 407細胞株を用いて、EBV感染により足場消失に伴うアポトーシス(anoikis)への抵抗性が獲得されること、EBVがコードする膜蛋白質LMP2Aがその活性を担っていること、anoikis抵抗性はERKの活性化により起こること、を明らかにした。LMP2AがEBV陽性胃がんの発生に寄与していることが示唆された。 3.EBERノックアウト、ノックインEBVを作製し、EBVによるBリンパ球トランスフォーメーション活性の検討を行った。EBERノックアウトEBVは野生型EBVに比べトランスフォーメーション効率が約100倍低下しており、EBERノックインEBVでは回復することを明らかにした。本研究の結果は、EBERの発がん活性をさらに強化するものである。
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