研究課題
特定領域研究
我々は、本研究において、ジーンターゲティング法を中心とする発生工学的手法を用いることにより、マウス生体内の各種組織・細胞における発がん関連遺伝子の機能解析を行い、発がんの分子機構の解明に大きく貢献する多くの知見を得た。また、さらにヒト発がん研究にとって重要な発がんモデル動物の開発にも成功した。がん抑制遺伝子Patched-1(Ptc1)の組織特異的不活化により、Ptc1の、発達途上の小脳において外顆粒細胞での組織特異的不活化が、Sonic Hedgehog signalの活性化を通じて増殖停止の遷延を引き起こし、これが小脳髄芽腫の発生につながることを明らかにし、さらにPtc1の表皮ケラチノサイト特異的な不活化により、ヒト基底細胞がんのモデルマウス開発にも成功した。がん抑制遺伝子Ptenに関しては、PtenがT細胞、表皮ケラチノサイト、肝細胞、前立腺上皮において、PIP3を介したシグナル伝達系の抑制に機能していることを明らかにし、これらの組織におけるPtenの不活化が、実際に発がんを引き起こすことを明らかにした。Wntシグナルに関与するがん関連遺伝子の機能解析では、Apcの不活化やβ-cateninの活性化が、多くの組織細胞でWntシグナルの活性化を引き起こすことを明らかにした。しかし、肝細胞では肝の肥大をもたらすのに対し、神経堤細胞や表皮ケラチノサイトでは細胞死が引き起こされることも明らかとなり、生体内でのWntシグナルの活性化に対する反応は、細胞・組織によって大きく異なることも明らかとなった。また我々は、Wnt受容体であるFrizzledの細胞内ドメインに結合する新たな分子を三種類同定することに成功し、これらのうち二種のWntシグナル関連分子のマウス生体内における機能を、ジーンターゲティング法を用いて明らかにすることに成功した。
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すべて 雑誌論文 (12件)
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