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2003 年度 実績報告書

テロメア機能異常を介した染色体異常の発生機構

研究課題

研究課題/領域番号 12213043
研究機関京都大学

研究代表者

石川 冬木  京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30184493)

研究分担者 小野 哲也  東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00107509)
キーワードテロメア / エピジェネティック / 減数分裂 / 紡錘極体 / Taz1
研究概要

テロメアは、テロメア蛋白質とテロメア特異的・非特異的結合蛋白質からなる巨大なDNA蛋白質複合体である。従来、テロメア機能にはテロメア配列の存在が必要十分であると考えられてきた。今年度の本研究により、テロメア構造および機能の少なくとも一部は、テロメア配列非依存的に、エピジェネティックな機構によって維持されうることを示した。分裂酵母は、テロメレース欠損などによりテロメア配列を完全に失うと、ほとんどの細胞が死にいたる。以前に我々は、3本の分裂酵母染色体が環状化することで、このテロメア配列欠損によるカタストロフィーを回避することができることを報告した。テロメアは、減数分裂前期において紡錘極体(Spindle pole body;SPB)に集族し、その後の染色体ホーステール運動を導くことで相同染色体の対合を促進することが知られている。テロメレース欠損より作成した環状染色体株は、全てのテロメア繰り返し配列を失っているので、この減数分裂前期におけるSPB集族も失われているものと予想された。しかし、我々は高頻度でテロメア配列を失っているにもかかわらず、このテロメア機能が維持されている株を同定した。テロメアDNA結合蛋白質Taz1は、このテロメア・SPB結合に重要な役割を果たす。taz1遺伝子の欠失・再導入実験により、環状染色体のテロメア機能がTaz1のエピジェネティックな維持によりもたらされることを示した。以上の結果より、テロメレース阻害剤など、テロメア機能を分子標的とした抗腫瘍剤の開発には、テロメア構造のエピジェネティックな維持を阻害する薬剤の併用が望ましいと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kanoh, J., Francesconi, S., Collura A., Schramke, V., Ishikawa, F., Baldacci, G., Geli, V.: "The Fission Yeast spSet1p is a Histone H3-K4 Methyltransferase that Functions in Telomere Maintenance and DNA Repair in an ATM Kinase Rad3-dependent Pathway."J.Mol.Biol.. 326. 1081-1094 (2003)

  • [文献書誌] Sadaie, M., Naito, T., Ishikawa, F.: "Stable inheritance of telomere chromatin structure and function in the absence of telomeric repeats."Genes Dev.. 17. 2271-2282 (2003)

  • [文献書誌] Yoshimura, S.H., Maruyama, H., Ishikawa, F., Ohki, R., Takeyasu, K.: "Molecular mechanism of DNA end-loop formation by TRF2."Genes to Cells. 9. 205-218 (2004)

  • [文献書誌] Ohki, R., Ishikawa, F.: "Telomere-bound TRF1 and TRF2 stall replication fork at telomeric repeats."Nucl.Acids Res.. 32. 1627-1637 (2004)

  • [文献書誌] Kanoh, J., Ishikawa, F.: "(review article) Composition and conservation of the telomeric complex."Cell.Mol.Life Sci.. 60. 2295-2302 (2003)

  • [文献書誌] Ishikawa, F.: "(review article) Cellular senescence, an unpopular yet trustworthy tumor suppressor mechanism."Cancer Sci.. 94. 944-947 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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