研究概要 |
1)腫瘍細胞で高メチル化されているDNA領域、遺伝子の単離、同定 Methylated CpG island amplification/representative difference assay (MCA/RDA)法を用いてATL細胞で高メチル化、低メチル化されているDNA領域の単離を行った。ATL細胞と正常CD4陽性Tリンパ球からのgenomic DNAを用いてMCA/RDA法にてATLで高メチル化されているDNA領域、ATLで低メチル化されているDNA領域を増幅した。メチル化状態の確認はSmaI, XmaIを用いたサザン法、Combined Bisulfite Restriction Analysis、sodium bisulfite sequencing法で確認した。その結果、これら単離したDNA断片の高メチル化はATLの進展に伴って増加していくことが明らかとなり、進展に関連していることが示唆された。次にATL細胞と正常細胞で発現を解析し、ATL細胞で高メチル化されているDNA近傍の遺伝子群を明らかにした。今後、その生物学的意義を解析していく予定である。 2)ATL細胞に対する抗Fas抗体の効果 ATL細胞は活性化Tリンパ球の形質を有しており、Fas抗原を高発現している。このためFas抗原を介するシグナルに高感受性であるが、Fasからシグナルを入れる抗体(CH-11等)は、肝細胞にもアポトーシスを誘導するため臨床応用できない難点があった。米原らの開発したHFE-7A抗体はマウスからヒトへ至る広い種に渡るFas抗原を認識し、アポトーシスシグナルを入れる。しかし、この抗体は肝細胞にはアポトーシスを誘導しないことから臨床応用が可能な抗体となっている。この抗体をヒト化したhumanized HFE-7A(hu7A)のATL細胞への効果をin vitro, in vivoで解析し、ATLに対して強い抗腫瘍効果を示すことを明らかにした。
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