相同DNA組み換えに関わるRad51類似遺伝子ファミリーの機能解析

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12213059
• 研究種目: 特定領域研究(C)
• 研究機関: 川崎医科大学
• 研究代表者: 高田 穣 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30281728)
• 研究分担者: 木浦 勝行 岡山大学, 医学部, 講師 (10243502)
• キーワード: 相同DNA組み換え / Rad51ファミリー / Rad52 / XRCC3

研究概要

相同DNA組み換え修復(HR)の中心分子Rad51には、一次構造が2-3割保存されたファミリー遺伝子が高等動物では少なくとも5種類存在する(Rad51ファミリーと総称)。我々はこのファミリーのニワトリ遺伝子をすべて分離し、遺伝子破壊が容易なニワトリ細胞株DT40においてそれぞれの欠損細胞を作成した。欠損細胞は、染色体断裂、増殖の緩徐化、軽度の放射線感受性・強度のシスプラチン感受性など、すべてほぼ同一の表現型を示した。以前に報告された各メンバー間での物理的会合を考えあわせると、このファミリーは機能的な複合体を形成するものと考えられた。HRに関わる他の遺伝子群(たとえばRad52、Rad54)に比べて、Rad51ファミリーはRad51に次ぐ重要な役割を果たすと思われる。さらにRad51ファミリーの一つXrcc3と、HRに関与するRad52との、コンディショナルダブルノックアウト細胞を作成し、両者が合成致死を示すことを見いだした。この細胞は細胞死に陥るとき多数の染色体断裂を示す。Rad52欠損の表現型は高等真核生物では非常にマイルドであり、Rad52とRad51ファミリーとの合成致死は予想外の結果である。両者は染色体安定性においてオーバーラップした役割を果たすことが推定された。

研究成果

• [文献書誌] Takata M: "The Rad51 Paralog Rad518 Promotes Homologous Recombinational Repair."Mol Cell Biol. 20. 6476-6482 (2000)
• [文献書誌] Motoda K: "SHP-1/ITIM-independent inhibitory signaling through murine NK cell receptor Ly-49A in a transfected B cell line."Immunology. 100. 370-377 (2000)
• [文献書誌] Kurosaki T: "Regulation of phosholipase C-r2 pathway in B cells."Immunol Rev. 176. 19-29 (2000)
• [文献書誌] Kurosaki T: "B cell-receptors. In Encyclopedia of Life Sciences."Macmillan Reference Limited, Hampsnire, England. (in press).
• [文献書誌] Takata M: "Chromosome instability and defective recombinational repair in knockout mutants of the five Rad51 paralogs."Mol Cell Biol. (in press).
• [文献書誌] Sonoda E: "Reverse genetic studies of homologous DNA recombination using the chicken B-lymphocyte line, DT40."Phil Trans R Soc Lond B. 356. 111-117 (2001)