研究課題/領域番号 |
12213075
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田嶋 正二 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (50132931)
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研究分担者 |
末武 勲 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (80304054)
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キーワード | DNAメチル化 / DNAメチルトランスフェラーゼ / アフリカツメガエル / 相互作用因子 / アポトーシス |
研究概要 |
近年、塩基配列の変化では説明できない、エピジェネティックな効果に起因するがんの発症例が注目されている。このエピジェネティックで括られる要因の多くが染色体DNAのメチル化異常に起因することがわかってきつつある。脊椎動物における染色体DNAのシトシン塩基5位のメチル化は遺伝情報の発現制御に関わっているが、その動的なメチル化変化は、模様の新生、維持、消去という3段階にわけられる。各段階を調節する因子として、現在DNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmt)が3種類(Dnmt1とDnmt3a、3b)と各種のメチル化DNA結合蛋白質が同定されている。Dnmt1は、複製直後のヘミメチル化DNAを選択的にメチル化し、Dnmt3aと3bはDNAのメチル化模様を新たに創り出すde novoのDNAメチル化活性を触媒すると考えられている。 本研究計画ではDNAのメチル化の調節機構を明らかにするために、DNAメチルトランスフェラーゼ(Dnmt)の調節機構を明らかにすることを目指すが、本年度は次のような結果を得た。 ツメガエル胚にDnmt3bを高発現させると、発現領域の細胞にアポトーシスが誘起された。このアポトーシス誘起の責任領域はDnmt3bのC末端側の触媒領域に存在する。Dnmt3bによるアポトーシス誘起は内在的なDnmt3bと相互作用する因子が外来性のDnmt3bによって系から除外されたことによると推定される。 酵母two-hybrid法により、Dnmt1と相互作用する新規遺伝子F1を同定した。このF1の翻訳産物は、Dnmt1のN末端100アミノ酸を含む配列と相互作用することを示した。 Dnmt3aとDnmt3bをGSTとの融合蛋白質として発現・精製した。精製酵素標品はin vitroでde novoの活性を示した。いずれの酵素もCpG配列に高い特異性を示した。
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