研究課題/領域番号 |
12213082
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
真木 壽治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (20199649)
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研究分担者 |
愿山 郁 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (10346322)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2004
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キーワード | ミューテーター / DNA複製 / DNA修復 / ノックアウトマウス / DNA損傷 / DNAポリメラーゼ / 校正機能 / フレームシフト |
研究概要 |
複製エラーおよびそれに起因する突然変異の特徴を詳細に解析した結果、大腸菌およびマウス個体の両方で、複製装置によるDNA合成のエラーは高頻度に生じているものの、ミスマッチ修復によりほぼ完全に修復されていることが明らかになった。このことから、ミスマッチ修復に耐性の前変異損傷として、自然DNA損傷により誘発される複製エラーと鋳型スイッチングエラーが重要な役割を果たしていることを提唱し、その後の研究により、この仮説を強く裏付ける以下の成果を得た。 1)自然突然変異の発生に寄与する酸化DNA損傷 自然DNA損傷の代表格である自然酸化DNA損傷についての研究では、塩基置換の発生には水酸ラジカルが主要な活性酸素種として関与することを明らかにし、一方、スーパーオキシドはグリコールアルデヒドなどの2炭糖を酸化して強力な自然変異原物質を産生することで変異の原因となることを突き止めた。 2)鋳型スイッチングエラーの発生と抑制の分子機構 鋳型スイッチングエラーの発生機構の研究では、岡崎フラグメントのプロセッシングに欠損が生じると鋳型スイッチングエラーの発生が昂進することを見いだし、各種のエキソヌクレアーゼが鋳型スイッチングエラーの特異的修復に関与することを示した。 3)DNA損傷による複製フォークの進行阻害と損傷乗り越えDNA合成による回復 試験管内で再構成した複製装置・複製フォークを用いて複製フォークの進行阻害とその回復過程の生化学的解析についても大きな進展が得られた。リーディング鎖上の脱塩基損傷により進行が阻害された大腸菌の複製装置がDNAポリメラーゼIVの働きにより複製を再開する過程を世界で初めて検出することに成功した。また、自然突然変異の発生における組換え修復と損傷乗り越えDNAポリメラーゼの役割についても詳細な検討を行い、自然DNA損傷により引き起こされる自然突然変異は組換え修復により強く抑制されていること、また、損傷乗り越えDNAポリメラーゼは自然突然変異の発生に通常の環境下ではほとんど寄与しないことを明らかにした。
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