研究課題/領域番号 |
12213084
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清水 憲二 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10037286)
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研究分担者 |
大内田 守 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (80213635)
松原 長秀 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70314672)
堺 明子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60205698)
伊藤 佐智夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30335624)
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キーワード | 発がん高リスク遺伝子 / がん体質遺伝 / 遺伝的多型 / ミスセンス1塩基多型 / ms-SNP / DNA修復遺伝子 / オッズ比 |
研究概要 |
本研究では「がん体質遺伝」の実体に迫るために、がん関連候補遺伝子のミスセンス1塩基多型(ms-SNP)を広汎に検索している。平成12年度からこれまでに計135遺伝子で205箇所のms-SNP候補を見い出し、担がん患者及び対照健常人集団におけるアレル分布を解析した。これらのうち、昨年度までに10種、本年度は更に10種のms-SNPが発がんに対して統計学的に有意なリスクを示した。既知のp53第72コドンのms-SNPを含めたこれら20種は、肺がん、頭頸部がん、大腸がんでは高リスクSNPが14種(オッズ比;1.91〜18)と保護的SNPが6種(オッズ比;0.18〜0.49)で、DNAの修復/複製(7種)、がん抑制(5種)、染色体分配(5種)及び細胞周期制御(3種)に関与する遺伝子群であった。このほか、境界有意値を示す高リスクms-SNPが8種明らかになった。興味深いことに、これら20種のうち14種はがんの種類によってユニークであった。個々の検体毎にこれらのms-SNPの重複(累積オッズ比)を検討した結果、肺腺がんのリスクに関わる10種のms-SNP遺伝子型が2種以上重複し、累積オッズ比が4.0以上を示す人は、健常人では4.5%であったが、肺腺がん患者では39%に達した(P=5.0×10^<-9>,OR=13.4)。同じく肺扁平上皮がんのリスク因子6種では、累積オッズ比が4.0以上を示す人は、健常人では8.2%であったが、肺扁平上皮がん患者では55%であった(P=1.4×10^<-7>,OR=13.8)。 このように、本研究で明らかになった発がんの高リスクms-SNPは、確かに実際の発がんリスクの遺伝的背景となっていることが強く示唆された。以上の結果のうち今年度判明した10種のms-SNPについては特許出願準備中なので、遺伝子名等を割愛した。
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