研究概要 |
申請者らの1999年の報告(EJM1999;18:387-407)から、非ホジキンリンパ腫(NHL)の予後には、B細胞表面抗原CD21分子の発現の有無が有意に相関することが現在までに明らかとなっている(CD21陰性vs CD21陽性,Relative Rsk of Death:5.18,95%信頼区間:1.10-24.5,P値:0.02)。そこで、CD21分子が如何にしてNHLの進展や予後に関与するのかを検証する目的で、CD21遺伝子の細胞膜外ドメイン(エクソン1からエクソン16まで)の発現を、NHL患者から抽出した腫瘍細胞を用い、RT-PCR法で比較した。その結果、indolentと呼ばれる比較的進行の遅いNHL症例においてはexon 11を含むfull lengthとexon 11を含まないsplicing isoformの2つが共在し、highly aggressiveと呼ばれる進展の早い予後不良のNHLには、exon11を含まないsplicingアイソフォームのみが弱く発現することが明らかとなった。加えて、CD21陽性indolent NHLはインターフェロン-αにより、容易に細胞増殖を抑制することも明らかとなった。そこで、このisoform発現の差異が、各種サイトカインやマイトージェンによる細胞増殖能に差をもたらすのではないかとの仮説のもと、二つのisoformをpRc/CMV発現ベクターにクローニングした後、CD21遺伝子陰性NHL細胞株に遺伝子導入し、各種遺伝子導入細胞の増殖能、B細胞刺激マイトージェンに対する反応、インターフェロン-αによる増殖抑制など、をベクターのみを遺伝子導入したコントロール細胞と比較検討する実験を現在施行中である。
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