研究課題/領域番号 |
12213098
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
續 輝久 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40155429)
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研究分担者 |
中津 可道 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (00207820)
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キーワード | 活性酸素 / 酸化ストレス / 自然突然変異 / 自然発がん / 8-オキソグアニン / 変異スペクトラム / 誘発突然変異 / DNA修復 |
研究概要 |
1.Mutyh遺伝子欠損マウスの自然突然変異を解析した結果、顕著なミューテーター表現型は認められなかったが、突然変異のスペクトラム解析では、G:C→T:A型変異等の有意な上昇を認めた。 2.Mutyh遺伝子欠損マウスで顕著に上昇したG:C→T:A型トランスバージョン等の変異が、生体内の酸化ストレスに起因するものであるか否かを評価する目的で、酸化剤である臭素酸カリウムを飲水投与したマウス小腸での突然変異の解析を行った。その結果、突然変異のスペクトラム解析で、G:C→T:A型変異の有意な増加を認めた。 3.これまでにMutyh遺伝子欠損マウス、野生型マウスをそれぞれ約100匹につき、1年6ヶ月の期間SPF条件下で飼育した後に剖検して自然発生腫瘍の解析を行い、(1)マウス個体における腫瘍の発生頻度は、野生型マウスと比較してMutyh遺伝子欠損マウスにおいて統計学的に有意に上昇し(p<0.001)、(2)Mutyh遺伝子欠損マウス個体では、小腸・大腸における腺腫・腺癌の発生頻度が野生型マウスに比べて統計学的に有意に上昇している(p<0.001)ことを認めている。 Mutyh遺伝子欠損マウスの小腸・大腸において腺腫・腺癌の発生頻度が上昇するという結果は、消化管内での酸化ストレスが消化管癌の発生に寄与していることを示唆する。そこで、生後4週齢の野生型並びにMutyh遺伝子欠損マウス各々十数匹に臭素酸カリウムを20週間連続して飲水投与し、24週齢の時点での腸管における腫瘍の発生を解析した。その結果、Mutyh遺伝子欠損マウスの十二指腸・空腸で多数の上皮性腫瘍の発生を認めた。 以上、自然及び酸化ストレス誘発突然変異の解析並びに発がん解析の結果、Mutyhは内因性、外因性の酸化ストレスにより生じた8-oxoG等の酸化的DNA損傷に起因する変異並びに発がんを抑制していると考えられる。
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