食品中因子による細胞のがん化防御に関する基礎的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12213119
• 研究種目: 特定領域研究(C)
• 研究機関: 京都府立医科大学
• 研究代表者: 西野 輔翼 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (10079709)
• 研究分担者: 徳田 春邦 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (60111960)
• キーワード: フラボノイド / ノビレチン / ヘスペリジン誘導体 / カロテノイド類 / ベータ・クリプトキサンチン / リコピン / RB遺伝子 / DNAアレイ

研究概要

フラボノイドであるノビレチンや、ヘスペリジン誘導体に発がん抑制効果があることを明らかにした。また、カロテノイド類であるベータ・クリプトキサンチンおよびリコピンが、皮膚発がんプロモーション抑制効果、大腸発がん抑制効果、あるいは肺発がん抑制効果を持っていることを証明した。ベータ・クリプトキサンチン、リコピンのほかにもアルファ・カロテン、ルテイン、ゼアキサンチンが発がん抑制効果を持っていることはすでに報告した。したがって、ベータ・カロテンも含めて、これらの日常的に摂取しているカロテノイド群を混合して利用することによって、効率の良いがん予防戦略が可能であろうと予測できる。そこで、今回、カロテノイド類の混合物による発がん抑制実験を行った。その結果、肺発がんプロモーションに対してすぐれた抑制効果が得られることが明かとなった。
次に、ベータ・クリプトキサンチンが代表的ながん抑制遺伝子であるRB遺伝子のプロモーター活性を用量依存性に増強させることを明らかにした。さらに、遺伝子発現への影響をDNAアレイ技術を利用して解析した結果、投与直後から増加する場合(たとえば、p73)から、かなり時間がたってから増加が見られるもの(たとえば、CDC42GAP)まで、いろいろな場合があることがわかった。また、予測されなかった遺伝子の発現変化(たとえば、アスパラギン合成酵素遺伝子の発現増強など)も多く含まれており、それらの意味付けが重要な課題となっている。

研究成果

• [文献書誌] Nishino,H: "Cancer prevention by natural carotenoids."Bio Factors. 13. 89-94 (2000)
• [文献書誌] Nishino,H: "Chemoprevention of lung cancer by lycopene."Bio Factors. 13. 95-102 (2000)
• [文献書誌] Nishino,H: "Modifying effects of carotenoids on superoxide and nitric oxide generation from stimulated leukocytes."Cancer Lett.. 149. 115-123 (2000)
• [文献書誌] Nishino,H: "Inhibitory effect of citrus nobiletin on phorbol ester-induced skin inflammation, oxidative stress, and tumor promotion in mice."Cancer.Res.. 60. 1061-1065 (2000)
• [文献書誌] Nishino,H: "Structure-activity relationship in potentially anti-tumor promoting benzalacetone derivatives, as assayed by the Epstein-Barr virus EA activation."Mutation Res.. 464. 247-254 (2000)
• [文献書誌] Nishino,H: "Protein phosphatases as a target of fumonicin B1."Mycotoxins. 50. 61-64 (2000)
• [文献書誌] 西野輔翼: "がん化学予防の最前線,"がん化学予防の最前線(西野輔翼編著)""医薬ジャーナル社. 8-17 (2000)
• [文献書誌] 西野輔翼: "化学予防"癌治療の新たな試み 新編II(西條長宏編)""医薬ジャーナル社. 367-377 (2000)