研究概要 |
伊東(久留米大・医)は平成16年度、新規癌関連抗原・エピトープ同定の基礎研究や臨床研究の基礎的解析研究(Clinic to Bench Research)分野において、多くの成果を得た。英文査読誌に掲載された論文数は36編であり,特許申請数は3件に上った。主な成果を以下に記載する。1胃癌組織浸潤リンパ球より樹立したHLA-A33拘束性CTLが認識する抗アポトーシス遺伝子IEX-lを同定し、この遺伝子がコードするHLA-A33拘束性に認識され3種類のエピトープを同定した(Sasada et al.,Can.Res.2882-8,2004)。2.大腸癌組織浸潤リンパ球から樹立したCTLによって認識されるTYMS(Thymidylate synthase)を同定し、この遺伝子がHLA-A2拘束性に認識するCTLエピトープペプチドを3種類同定した(Shichijo et al.,Clin. Can. Res.2004)。TYMSが大腸癌の5-FU薬剤耐性に関与している事が示唆されている事から、大腸癌の標的分子としての可能性を示した。3.HLA-A31拘束性CTLに認識される4つの癌関連抗原及び7つのエピトープペプチドがHLA-A31と同じA3スーパータイプであるHLA-A11,-A33に認識される事を示した(Takedatu et al. Clin. Cancer Res.1112-1120,2004.)。4.ペプチドワクチンによる液性免疫の増強は生存に寄与する事を立証した(Mine et al.,Clin. Can.Res.10:927-937.2004)。5ペプチドワクチン投与に伴い、ペプチド反応性CD8陽性細胞とともにペプチドを認識するCD4陽性T細胞も生体内に誘導されて事を示した(Harada et al.,J. Immunol.,172:2658-2667,2004)。
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