昨年度まで、ヒト胃がんを材料に、methylation-sensitive-representational difference analysis (MS-RDA)法によるゲノム網羅的なメチル化異常の検索を行い、9個の遺伝子(LOX、HRASLS、FLNc、HAND1、Thrombomodulin、bA305P22.2.3、a homologue of RIKEN 2210016F16、FLJ32130、PGAR)が、5'CpGアイランドのメチル化によりサイレンシングされることを見いだした。本年度は、ras遺伝子によりトランスフォームした線維芽細胞に対して増殖抑制作用をもつことが知られていたLOS及びHRASLS遺伝子を、胃がん細胞に導入し、LOXについては、増殖速度、軟寒天中での形成コロニー数、ヌードマウスでの腫瘍の大きさを抑制することを見いだした。さらに、Thrombomodulin及びFLNcについても、ノックダウンによる解析を開始した。一方、アクチンの重合調節に重要な役割を果たすArp2/3複合体の7個のサブユニットについて、胃がんでの発現を解析したところ、複数のサブユニットが、高頻度に発現低下を示すことを見いだした。
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