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2000 年度 実績報告書

HIVアクセサリー遺伝子Vpr誘発ゲノム不安定性の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 12213161
研究種目

特定領域研究(C)

研究機関国立国際医療センター(研究所)

研究代表者

石坂 幸人  国立国際医療センター, 研究所・難治性疾患研究部, 部長 (30281687)

研究分担者 志村 まり  国立国際医療センター, 研究所・難治性疾患研究部, 室長 (90226267)
キーワードHIV / アクセサリー遺伝子 / 細胞周期異常 / ゲノム不安定性 / サイクリンB / セクリン / APC / M期遅延
研究概要

HIVアクセサリー遺伝子Vprは染色体断裂、小核形成及び遺伝子増幅という一連のゲノム不安定性を誘発する。本研究はVprによるこの様なゲノム不安定性誘発機構を明らかにしながら正常細胞でのゲノム維持機構とその破綻による癌化機序を明らかすることを目的としている。In vitroの実験系により、サイクリンB及びセクリンのいずれにもVprが結合すること、さらにVprとこれら蛋白質の結合には典型的なD-boxのアミノ酸配列として知られているRxxLGモチーフが重要であることを明らかにした。またサイクリンBのユビキチン化はCdc20及びCdh1どちらのAPC活性によっても誘導され、VprのC-末ペプチド(C45)の添加により阻害されるのに対し、セクリンのCdc20によるユビキチン化はVprにより阻害される一方、Cdh1によるユビキチン化は阻害されないことを示した。また、Vpr発現細胞であるMIT-23細胞を用いた解析から、Vpr発現により急速にCdh1/APC活性が誘導されることを見い出した。次に、Vprのこれらタンパク質機能に及ぼす影響について検討したところ、Vprを10日間発現させた状態では、サイクリンBの分解とM期の進行遅延がともに認められた。一方、セクリンは全く異なる挙動を示し、Vpr発現下では、M期開始時期当初から蛋白質発現は認められなかった。さらに、タイムラプスによる画像解析により、Vpr発現細胞では、anaphaseを経ずにG1期に突入する細胞が存在すること、また染色体の構造解析の結果、姉妹染色体が分裂期に進行する前から分離した状態になっている様子が捉えられた。以上の事から、VprによるAPC活性の調節異常により誘発されるセクリン-セパリン-コヘシンの機能的連関の破綻とサイクリンBの分解遅延によるM-期進行遅延がVprのゲノム不安定性誘発の分子基盤の一つになっている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Terui,Y.,Mori,M.,Tomizuka,H.,Takizawa,T.,Miyazato,A.,Uwai,M.,Mishima,Y.,Ueda,,M.,Inoue,R.,Yamada,M.,Ishizaka,Y.,Ikeda,K.,Kato,T.,Ozawa,K., and Hatake,K.: "A new human myelodysplastic cell line, TER-3 : G-CSF specific downregulation of calmodulin-dependent kinase TV."1. J Cell Phys.,. (in press.).

  • [文献書誌] Uwai M,Terui Y,MishimaY,Tomizuka H,Ikeda M,Itoh T,Mori M,Ueda M,Inoue,R.,Yamada,M.,Hayasawa,H.,Horiuchi,T.,Niho,Y.,Matsumoto,M.,Ishizaka,Y.,Ikeda,K.,Ozawa,K.,and Hatake,K.: "A new apoptotic pathway for complement factor B derived fragment Bb."J Cell Physiol.,. 185. 280-292v (2000)

  • [文献書誌] Shimura,M.,Okuma,E.,Yuo,A.,Hatake,K.,Takaku,F.,Ishizaka,Y.: "Oxidative stress involved in room temperature induced apoptosis of HL-60 cells."J.Leukoc.Biol.. 68. 87-96 (2000)

  • [文献書誌] Yano,R.,Shimura,M.,Taniguchi,M.,Hayashi,Y.,Suzuki,T..,Hatake,K.,Takaku,F.,and Ishizaka,Y. : "Improved gene transfer to neuroblastoma cells by a monoclonal antibody targeting RET, a receptor tyrosine kinase."Human Gene Therapy. 11. 995-1004 (2000)

  • [文献書誌] Okuma,E.,Saeki,K.,Shimura,M.,Ishizaka,Y.,Yasugi,E.,and Yuo,A.: "Induction of apoptosis in human hematopoietic U937 cells by granulocyte-macrophage colony-stimulating factor : possible existence of caspase-3 like pathway."Leukemia. 14. 612-619, (2000)

  • [文献書誌] Shimura,M.and Ishizaka,Y.: "Inhibition by quercetin of micronuclei formation via Vpr, an accessory gene of HIV."Recent Research Developments in Cancer.(in press).

  • [文献書誌] 石坂幸人,志村まり: "HIVアクセサリー遺伝子Vprの基礎と新規抗エイズ療法"医療. 9 (2000)

  • [文献書誌] 石坂幸人,志村まり: "非ウイルス性ベクターシステムの構築"日本ビジネスレポート社、. 8 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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