小児がん登録で判明した低出生体重児の肝芽腫リスク上昇の原因を探るため、肝芽腫を発生した超低出生体重児12名と同時期に出生し肝芽腫未発生の超低出生体重児75名の周産期因子に関する患者対照調査を行った結果、酸素投与日数(中央値は患者114日:対照62日)、フロセミド投与日数(89:44)、出生体重に回復するまでの日数(33:28)に有意差が認められ、Coxの多変量解析では、酸素投与日数が肝芽腫の危険因子として採択された(P=0.001)。新生児の尿中の8オキシグアニン量は満期出生児に比して、採尿時体重1500g未満群では有意に高いが1500g以上の群では有意差は認められず、縦断調査では体重1500gに達するまで高値を示すことが多いがその後は低値で安定していた。低出生体重児の新生児期の未熟性が酸素ストレスと関係があることが示唆され、患者対照調査の結果を指示する結果が得られた。 多種の部位に発生するPNETの家族発生実態は不明であったが、種々の診療科から報告された小児がん登録資料より、家系員の種々の臓器のがん罹患率上昇が示唆された。がん家族集積のあるPNET症例の腫瘍細胞および末梢血単核球で、家族性腫瘍との関連性が報告されているp53遺伝子には異常が見いだされなかったが、hSNF/INI1遺伝子の3か所にアミノ酸置換を伴う塩基置換が見いだされた。この中の2箇所の変異は最近、横紋筋肉腫と髄芽腫において報告されたものと同一であり、興味深い。
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