研究課題/領域番号 |
12213164
|
研究種目 |
特定領域研究(C)
|
研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
立松 正衛 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 部長 (70117836)
|
研究分担者 |
塚本 徹哉 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 主任研究員 (00236861)
稲田 健一 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 主任研究員 (70246081)
中西 速夫 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 室長 (20207830)
池原 譲 愛知県がんセンター研究所, 腫瘍病理学部, 研究員 (10311440)
|
キーワード | スナネズミ腺胃発癌モデル / 可逆性病変 / スナネズミホモログ遺伝子 / 細胞分化マーカー |
研究概要 |
スナネズミにHp感染を行い、発癌物質を用いない自然経過と感染後除菌群の腺胃病変解析した。Hp感染後25週では、胃型粘液を有する腺管が粘膜下へ増生し、粘膜筋板をやぶって粘膜下に増殖巣を形成し、50週では、胃腸混合型の腸上皮化生が散見されただけでなく、粘膜下の増殖性腺管についても胃腸混合型の腸上皮化生じていた。Hp感染後75週まで経過すると、粘膜下の増殖性病変は奨膜にまで腫瘍様の進展を示し、粘膜内、粘膜下増殖巣いずれの腸上皮化生性腺管でも、Paneth細胞の出現を見るものが出現する完全型腸上皮化生への移行が見られた。除菌後の粘膜では、かつて見られた粘膜下増生は消退し粘液だけが残存する像が観察されるのみとなり、Hp感染により障害され消失していた壁細胞は再び出現し、胃粘膜の修復が観察された。発癌物質を投与せずともHp感染単独で生じた腫瘍様病変も除菌後、自立的増殖を示さず消褪したので、Hp感染による過度の炎症に伴って生じる可逆性の増殖性変化であると考えた。このことは、"Hpは胃発がんプロモーターである"と言うことを実験的に証明できたことを意味するとともに、化学発癌物質存在下で生じてくる胃癌は何らかの遺伝子変異が生じていることを示すものである。これらのことを背景としてスナネズミ腺胃発癌過程の分子生物学的機構解析を行なうため、スナネズミホモログ遺伝子を効率よく単離できるシステムの構築をおこなった。腸型化分化マーカーのSTn抗原合成酵素、遺伝子発現のインターナルコントロールとして用いる予定であるβ-actin,GAPDHのORF全長を含むcDNAクローンを単離し、次年度での利用に備えている。また細胞分化誘導や増殖を直接制御する分子の候補として、ビタミンAアルデヒドであるレチナールからビタミンA酸であるレイノイン酸合成に働くAldehydedehydrogenagelのスナネズミホモログ、インターフェロンγとサイトカインGro、細胞分化関連としてCdx1、2の部分配列もしくはORF全長の単離を行なった。
|