研究課題/領域番号 |
12213164
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
立松 正衞 愛知県がんセンター, 研究所, 副所長 (70117836)
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研究分担者 |
池原 譲 愛知県がんセンター, 腫瘍病理学部, 研究員 (10311440)
稲田 健一 愛知県がんセンター, 腫瘍病理学部, 主任研究員 (70246081)
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キーワード | スナネズミ腺胃発癌モデル / 可逆性病変 / スナネズミホモログ遺伝子 / 細胞分化マーカー |
研究概要 |
Hp感染スナネズミの腺胃は除菌により可逆的に消失する腫瘍様増殖性病変を生じ、そこに発癌物質への暴露が存在すると高率に発癌する。スナネズミ発癌過程における形態学的変化と遺伝子変異についての検討、すなわち増殖性病変が可逆性を喪失し発癌に至る鍵となる遺伝子変異についての検討が、ヒト胃発癌機構の解明にも大きく寄与すると考えられる。これに基づき、発癌と関与する因子としてβ-Catenin、炎症関連因子としてIL-1β、腸型化分化マーカーとしてSTn抗原合成酵素、内因性因子としてβ-actinおよびGAPDHのスナネズミホモログ配列全長を単離同定した。さらにHp感染に伴う細胞増殖においてはTRAF6やTRAF2を介するNFκB活性化が重要でありNFκBの転写活性を抑制的に制御するIκBα遺伝子の変異も細胞増殖に影響を及ぼす。従ってIκBαのスナネズミホモログ配列全長を単離・配列決定し、Light Cyclerによる半定量的PCRでHp感染群および除菌群におけるIκBαのmRNA転写量を検討し、さらにHp感染胃粘膜およびスナネズミ癌腫に対してPCR-SSCP分析を行いIκBα遺伝子変異の有無を検討した。スナネズミIκBα遺伝子はpolyadenylationシグナル、ATTTAモチーフ、IKKリン酸化部位及びIκBα特異的NES配列を有した。IκBαのmRNA転写量の発現はHp感染スナネズミ胃粘膜において亢進し除菌後は改善した。この変化は粘膜下増殖性病変の存在や血清抗IgG抗体価と相関し、Hp感染による一連の変化はフィードバックの制御範囲内でありその影響がプロモーター作用であることを示した。感染胃粘膜および癌腫を対象としたPCR-SSCP分析からはIκBα遺伝子多型は検出されず、発癌モデルの癌部においてこのシグナル伝達系の機能は機能しNFκBの恒常的な活性化に対する抑制的制御が観察された。
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