研究課題/領域番号 |
12215019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平井 久丸 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (90181130)
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研究分担者 |
仲野 徹 大阪大学, 微生物学研究所, 教授 (00172370)
宮島 篤 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (50135232)
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キーワード | AML1 / 転写因子 / コンディショナルノックアウトマウス / T細胞分化 / 胸腺内T細胞分化 / 末梢T細胞 / pre-TCR複合体 / TCRβ |
研究概要 |
AML1(RUNX1)はRuntファミリーに属する転写因子である。AML1を欠損するマウスは成体型造血が欠失し、胎生期12.5日で脳室を中心とする出血にて致死を示す。本研究ではCre-LoxPシステムを用いたAML1コンディショナルノックアウトマウスを樹立し、Lck-Creトランスジェニックマウスとの交配でT細胞特異的にAML1を欠損するマウスを作製した。このマウスは著しい胸腺低形成を示し、CD4,8陰性(DN)分画内ではCD25陽性CD44陰性(DN3分画)に細胞が蓄積し、それ以降の分化が著しく抑制されていた。細胞表面CD3ε、TCRβの発現も低下していた。さらに(1)抗CD3ε抗体を腹腔内投与する、あるいは(2)TCRβトランスジーンを導入したマウスを作製することによっても胸腺細胞数は依然少なく、pre-TCR複合体発現低下は回復しなかった。次にRAG2とのダブルノックアウトマウスを作製したが、本来DN3で分化抑制される胸腺細胞群がDPからCD4 SPまで分化誘導された。以上より、胸腺内初期分化においてAML1は(1)pre-TCR複合体、(2)pre-TCR複合体下流シグナル分子、(3)pre-TCR複合体下流シグナルにおけるリプレサー分子、の少なくとも3点に作用点があることが示唆された。このマウスでは、胸腺内から末梢へ移行する際のCD4SP細胞特異的成熟障害、末梢T細胞CD4/CD8比の逆転とCD4 SP細胞の増殖抑制、末梢リンパ組織内での胚中心形成障害が観察され、AML1がT細胞系で胸腺内初期分化、成熟過程から末梢での増殖、機能発現に至るまで複合的に作用していることが明らかになった。
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