研究課題/領域番号 |
12215023
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清木 元治 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10154634)
|
研究分担者 |
森 英俊 東京大学, 医科学研究所, 教務職員 (00323642)
木全 弘治 愛知医科大学, 分子医学研究所, 教授 (10022641)
|
キーワード | 癌細胞 / 浸潤・転移 / 細胞外基質 / マトリックスメタロプロテアーゼ / ヒアルロン酸 / CD44 |
研究概要 |
悪性のがん細胞は一般に運動能が亢進している。しかし、実際の組織の中で細胞が運動する為には隣接する領域での細胞外基質の分解と再編成が必須である。このような細胞外基質の分解には、細胞膜結合型のマトリックスメタロプロテアーゼ、とりわけMT1-MMPが重要な役割を果たす。がん細胞が浸潤する際には、細胞外基質分解に関するプロテアーゼがその先進部に集結する。しかし、その仕組みに関しては全く未知の領域であった。膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT1-MMP)は、がんの浸潤に関わる中心的なプロテアーゼであり、基底膜分解酵素のMMP-2を結合して活性化する能力も持つ。MT1-MMPは細胞接着分子であり、ヒアルロン酸をリガンドとするCD44と直接結合することによってアクチン細胞骨格と連結することが明らかとなった。細胞運動はアクチン骨格のダイナミックな再編を伴って起こるが、その際にMT1-MMPはCD44を介して細胞骨格と連動した制御を受けていることが明らかとなった。 一方で、ヒアルロン酸合成酵素(HAS)のセンス、アンチセンス、また活性部位変異体遺伝子の細胞への導入・発現によりヒアルロン酸合成の制御を可能にして、癌転移における役割を探るin vivo実験系を開発した。SrcとRas癌遺伝子活性化によるHAS遺伝子の発現増加と下流のシグナル伝達系を明らかにし、癌遺伝子による形質転換におけるヒアルロン酸のautocline的な関与を初めて明らかにした。これらの関与の程度と機構は3種類のHASにより異なる。
|