研究課題/領域番号 |
12215037
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
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研究分担者 |
小川 誠司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 寄付講座教員(常勤形態) (60292900)
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キーワード | ASK1 / ASKファミリー / MAPキナーゼ / アポトーシス / Blimp1 |
研究概要 |
本研究計画は、細胞の分化と死のシグナル伝達機構の機能解析に焦点を絞ったものであり、その成果は癌化メカニズムの理解に大きく貢献するものと考えられる。特に細胞の分化ならびに死に関わる細胞内シグナル伝達機構を明らかにすることを目標として設定した。本年度は、ASKファミリー分子群の機能解析を行い、ストレス応答MAPキナーゼ経路と発がんとの関連性の解明を試みた。またB細胞の終末分化に重要な機能を担うと考えられているBlimp1について、造血系におけるBlimp1の条件的欠失マウスの解析、並びにin vitroにおけるBlimp1の細胞周期における機能の解析を行った。ASKファミリー関連としては、新しいメンバーとしてASK3を発見した。ASK2ノックアウトマウスの解析によりASK1に加えてASK2も酸化ストレスならびにカルシウムシグナルによって誘導されるアポトーシスに必要であることが示唆された。さらに、ASKファミリーであるASK1・ASK2ダブルノックアウトマウスの作製、および他のMAPKKK分子とASK1のダブルノックアウトマウスの作製、ASKファミリーノックアウトマウスにおける発がん系の負荷などを行い、他のMAPKKK分子との関係も含めて総合的にASKファミリーの生理的機能ならびに発がん機構との関連性について解析を行った。一方、Blimp1欠失マウスでは約5ヶ月の経過でT細胞の著明な増殖が観察され、Blimp1はp53蛋白の誘導を介した細胞周期の停止に働くこと、また、この際G1停止はRb蛋白に依存性であることが明らかとなった。すなわち、Blimp1は細胞周期の制御を介してT細胞の増殖を制御している可能性が強く示唆された。
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