研究課題/領域番号 |
12215066
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
開 祐司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (40144498)
|
研究分担者 |
宿南 知佐 京都大学, 再生医科学研究所, 助教授 (60303905)
|
キーワード | 血管侵入障 / 組織間相互作用 / 腫瘍血管新生 / ChM-I / TeM / 腱・靭帯 / 脱落膜 / アデノウイルスベクター |
研究概要 |
間葉系組織における血管侵入障壁を組織特異的血管新生抑制因子の面から解析し、生理的な血管新生抑制因子の抗腫瘍血管阻害剤としての基盤開発を行う。本年度は、以下の成果を得た。 1)ChM-Iの発現局在に関する解析 川本法により非脱灰切片を作成後、非脱灰切片上でChM-Iのタンパクと遺伝子の発現局在について詳細な解析を行うことが可能になった。2〜16週齢のラット脛骨・大腿骨を用いた解析から、生後の骨端成長板では、胎生期と同様に後期肥大化・石灰化軟骨層でChM-I mRNAの発現が消失しているものの、ChM-Iタンパクが検出されることが判明した。一方、軟骨形成期に先立つマウス胚発生初期においては、母性由来細胞である脱落膜が新たな発現部位であることを見出した。 2)TeM遺伝子の機能的発現と解析 ヒトTeMのChM-I様ドメインを含むC端側116アミノ酸領域を分泌タンパクとして発現するアデノウイルス(Ad-shTeM)を作製した。同様に、成熟型ChM-Iに相当する120アミノ酸残基を発現分泌するアデノウイルス(Ad-shChM-I)を作製した。293細胞に導入してアデノウイルス粒子を調製し、HUVECに感染させたところ、Ad-shTeMとAd-hChM-Iは、細胞増殖だけでなく管腔形成を著明に抑制した。また、VEGF応答性のHUVECの遊走をも著明に抑制することが明らかになった。さらに、悪性黒色腫細胞株BL-6にAd-shTeM、Ad-shChM-1を感染させ、6-8週齢のC57B16マウスの皮下に移植した。移植後、7日、14日、21日における腫瘍の重量を測定し、PECAMに対する抗体を用いて腫瘍血管新生に対する作用を調べた。その結果、感染細胞を移植した群では、コントロール群と比較して、腫瘍の重量が46%、60%小さいことが明らかになった。
|