研究課題/領域番号 |
12215078
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 雅人 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10177058)
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研究分担者 |
黒崎 知博 関西医科大学, 肝臓研究所, 教授 (50178125)
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キーワード | シグナル伝達 / チロシンキナーゼ / カルシウム / Raft / Src / Csk / PLC-γ2 / BLNK |
研究概要 |
細胞の増殖・分化・死を誘導する一群の細胞外因子は、情報受容の初期反応としてSrc、Syk、Tecファミリーなどの非受容体型チロシンキナーゼの活性化を惹起し、次いでチロシンリン酸化シグナルをカルシウムシグナルへと変換することによって適切な細胞応答を具現すると考えられている。私たちはこれまでに、非受容体型チロシンキナーゼの活性制御機構の解析(岡田)及びカルシウムシグナルへの変換機構の解析(黒崎)を通して、上記細胞内シグナルの分子機序の解明に参画してきた。本研究では、さらにその全容を明らかにすることを目的として以下の点について解析を行った。1)細胞応答初期過程におけるSrc型チロシンキナーゼの機能と制御機構を明らかにする。特に、細胞膜マイクロドメインRaftに局在する新たなSrc型チロシンキナーゼの標的膜蛋白質Cbpの機能を解析する(岡田)。2)カルシウム動員機構とそのターゲットを解析するために、非受容体型チロシンキナーゼによるPLC-γ2の活性化分子機構・細胞膜表面に存在するカルシウムチャンネルの分子的実体解明に的を絞り研究を行う(黒崎)。その結果、以下の成績を得た。1)Src型チロシンキナーゼの活性制御因子Cskに結合する新たなチロシンリン酸化膜蛋白質Cbpを同定し、Src型チロシンキナーゼの活性制御機構における役割を明らかにした。2)Cbpが細胞膜マイクロドメインRaftに局在することを見出し、細胞応答の初期反応および制御がRaftを舞台にして行われていることを示した。3)カルシウムシグナル産生に関与するPLC-γ2の活性化には、Sykチロシンキナーゼのターゲットであるチロシンリン酸化蛋白質BLNKが必須であることを明らかにした。4)PLC-γ2の活性化には、BLNKを介するRaftへの移行が必須であることを見出し、カルシウムシグナルのメッセンジャー産生の過程もRaftで行われていることを明らかにした。
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