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2001 年度 実績報告書

がん化に伴うDNA複製開始制御の変化

研究課題

研究課題/領域番号 12215107
研究機関岡山大学

研究代表者

水島 徹  岡山大学, 薬学部, 助教授 (00264060)

キーワードDNA複製 / ORC / Cdc6p / ATP / がん / ATPase
研究概要

我々は真核生物の複製開始因子であるORCのATPase活性がORC'の不活性化(再複製開始抑制機構)に関与していると考え、この考え方が正しいことを示唆した(Mizushima, T. et al.Genes & Dev. 2000)。さらに、これまでその機能が未知であったCdc6pのATPase活性の機能解析も行った。我々は、Cdc6pが自身のATPase活性を使って、ORCの高次構造を変化させ、ORCが複製origin特異的に結合することを助けることを示した(Mizushima, T. et al. Genes & Dev.2000)。このORCの高次構造変化は、DNAヘリカーゼであるMCMを複製originに誘導することに関与していると考えている。以上の結果は、Cdc6PのATPase活性がORCとは逆に複製を正に制御していることを示唆している。これらの研究は真核生物の染色体DNA複製制御の生化学的解析におけるブレークスルーになるという点で、世界的に注目されている。細胞のがん化に伴い、DNA複製の開始制御機構も変化すると考えられているが、その実体は明らかではない。我々は上記の研究により、ORC、及びCdc6PのATPaseがDNA複製開始制御において重要な役割を果たしていることを示唆したので、これらの活性が細胞のがん化に伴い変化する可能性を考えた。そこで今年度我々は、ヒト正常細胞の核粗抽出液中にORC、及びCdc6PのATPase活性の促進因子が存在するか否かを調べた。粗抽出液をカラムにかけて調べたところ、ORC、及びCdc6pのATPaseに対する促進活性の複数のピークが観察された。がん細胞の核抽出液も同様に解析したとこと、正常細胞とは違うカラムパターンを示した。このことは、細胞のがん化に伴い、ORC、及びCdc6PのATPase活性が変化することが、がん細胞の異常な複製開始に関与している可能性を示している。この結果は、これまで研究が遅れてきた、がん化とDNA複製開始制御の関係に新しい観点を導入するものである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Makise, M.: "Molecular mechanism for functional interaction between DnaA protein and acidic phospholipids ; identification of important amino acids"J. Biol. Chem.. 276. 7450-7456 (2001)

  • [文献書誌] Makise, M.: "Biochemical analysis on DnaA protein with mutations in both Arg328 and Lys372"Biochem. J.. (in press).

  • [文献書誌] Lee, J. R.: "Inhibitory effects of acidic phospholipids on the binding of Origin Recognition Complex to origin DNA"Biochem. J.. (in press).

  • [文献書誌] Makise, M.: "Sequence-independent DNA binding activity of DnaA protein, the initiator of chromosomal DNA replication in Escherichia coli"J. Biochem.. (in press).

  • [文献書誌] Tsutsumi, S.: "Gastric irritant-induced apoptosis in guinea pig gastric mucosal cells in primary culture"Biochim. Biophys. Acta. (in press).

  • [文献書誌] Tomisato, W.: "NSAIDs induce both necrosis and apoptosis in guinea pig gastric mucosal cells in primary culture"Am. J. Physiol. Gastrointest. Liver Physiol.. 281. G1092-G1100 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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