標識抗体を利用したがんの診断と治療

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12217021
• 研究機関: 群馬大学
• 研究代表者: 遠藤 啓吾 群馬大学, 医学部, 教授 (10115800)
• 研究分担者: 荒野 泰 千葉大学, 薬学部, 教授 (90151167) ; 井上 登美夫 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80134295) ; 青木 純 群馬大学, 医学部, 助教授 (80212364)
• キーワード: 抗体 / 放射性ヨード-131 / 放射性同位元素 / 悪性リンパ腫 / 胃癌 / PET

研究概要

放射性同位元素(RI)標識モノクローナル抗体を用いる癌の特異的治療法開発に関する基礎的・臨床的研究を行った。RI標識した抗体は患者の体内で抗原・抗体反応に基づいて対応する抗原を発現している癌細胞と特異的に結合するため,癌の画像診断としてのみならず副作用の少ない腫瘍特異的な癌治療法になると期待されている。本研究では倫理委員会の承認を得た後、10例の進行胃癌症例を対象として放射性ヨード-131標識ヒト型抗体huA33を投与し、胃癌組織、正常組織などへの抗体の集積を定量的に解析した。A33抗原陽性腫瘍部に対するhuA33抗体の特異的集積が明らかになった。基礎的研究として新しく開発した分子構築が腎臓への放射性ヨード集積を減少させ、腫瘍/正常組織比を高くすることを目的として行い腎臓刷子縁膜酵素の働きにより、腫瘍への取り込みに影響を与えることなく標識抗体の腎臓への集積を減少させ、腫瘍/正常組織比を高くできることが明らかとなった。フッ素-18で標識したブドウ糖の誘導体(FDG)を用いるFDG-PET検査を、悪性リンパ腫患者を対象として抗体療法、化学療法の前後に行い、治療効果判定に役立つことが明らかとなったX線CTは代表的な形態画像診断であり、PETは機能画像である。このふたつの装置;X線CTとPETを組み合わせたPET/CT装置も開発されており、形態画像と機能画像を正確に重ね合わせることにより、抗体療法、化学療法による治療効果の判定を治療後早期に行えるものと期待される。

研究成果

• [文献書誌] Hatayama K.: "Evaluation of hemangioma by positron emission tomography : Role in a multimodality approach"Journal of Computer Assisted Tomography. 27. 70-77 (2003)
• [文献書誌] Lee JU.: "Antiproliferative activity induced by the somatostatin analogue, TT-232, in human pancreatic cancer cells"Eur J Cancer. 38. 1536-1534 (2002)
• [文献書誌] Sato M.: "Detection of experimental autoimmune myocarditis in rats by imdium-111 labeled monoclonal antibody specific for tenascin-C"Circulation. 106. 1,073-1,081 (2002)
• [文献書誌] Kato H.: "Comparison between positron emission tomography and computed tomography in the use of the assessment of esophageal carcinoma"Cancer. 94. 921-928 (2002)
• [文献書誌] Moteki T: "Evaluation of hepatic lesions and hepatic parenchyma using diffusion-weighted reordered turboFLASH magnetic resonance images"J. Magn. Reson. Imaging. 15. 564-572 (2002)
• [文献書誌] Zhang H.: "Oncological diagnosis using positron coincidence gamma camera with fluorodeoxyglucose in comparison with dedicated PET"British Journal of Radiology 75 : 409-416, 2002. 75. 409-416 (2002)