研究課題/領域番号 |
12217028
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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研究分担者 |
小澤 敬也 自治医科大学, 医学部, 教授 (30137707)
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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キーワード | ウイルスベクター / 遺伝子治療 / Cre / 発現制御 / アデノウイルス |
研究概要 |
アデノウイルスベクターは広範囲の細胞に高効率で遺伝子導入することが可能であるが、反面がん細胞への特異的遺伝子導入のためには改良が必要である。本研究では目的遺伝子の発現を高効率かつ厳密に制御することが可能な部位特異的組換え酵素とがん細胞特異的プロモーターを組み合わせることによりがん細胞でのみ目的遺伝子の発現をONへと制御する「単一型特異的高度発現ベクター」の開発を最終目的としている。これまでの研究から部位特異的組換え酵素Creを高度に発現させた場合、Creそのものによる細胞への影響が指摘されていたため、本年度はCreの安全域について詳細な検討を行った。発現量の異なるSV40初期プロモーター、SRαプロモーター及びCAGプロモーターからCreを発現する組換えアデノウイルスを作製し比較検討を行った。その結果Creの発現量に依存してCreそのものによると思われる細胞毒性が確認された。しかしCAG及びCAGの約1/100の活性のSRαプロモーターを用いた場合には毒性を示すウイルス量と100%の細胞で活性を示すウイルス量の差は約64倍と広く、予備的な検討を行うことにより安全にCreを用いることが可能であった。一方CAGの約1/3000の活性しか有さないSV40初期プロモーターではCreの発現量が低いため安全域が約4倍と非常に狭く応用は困難であった。しかし今までの二重感染法における結果からα-fetoproteinプロモーターの活性はCAGの約1/500であり本法を用いて充分に安全なベクターの開発が可能であると考えられた。本研究から本法を用いて特異性の付加を行う場合には細胞特異的プロモーターの活性が安全性において重要な要因となり得ることが明らかとなった。
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