プロテアソーム蛋白分解系を標的とした新たな治療法について研究を行い、以下の成果を得た。 1)固形がん内部のストレス環境下でプロテアソーム依存的にトポイソメラーゼ(トポ)II標的抗がん剤の耐性誘導が起こることを明らかにし、プロテアソーム阻害剤ラクタシスチンが動物レベルでもトポII標的抗がん剤のエトポシドの効果を増強することを明らかにした。 2)プロテアソーム阻害剤と種々の抗がん剤との併用効果を検討し、トポIを標的とするカンプトテシン(CPT)の殺細胞効果を増強することを明らかにした。この効果増強は、CPT処理によって起こるトポI分解の抑制とよく相関することを見出した。 3)グルコース飢餓ストレスによるトポIIαの分解には、トポIIαの核局在化が必要であること、また従来トポIIαの制御ドメインと考えられてきたC-末端側ではなくN-末端側に存在するATPaseドメインが重要な働きをしていることを明らかにした。 4)ストレスによるトポIIαの分解やCPTによって誘導されるトポIの分解を制御していると考えられるユビキチン化の制御機構を検討するため、20種類におよぶヒトユビキチン結合酵素を発現ベクターにクローニングするとともにそのドミナントネガティブ体の作製を行った。
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