研究課題/領域番号 |
12217052
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
金子 周一 金沢大学, 医学部, 助教授 (60185923)
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研究分担者 |
中本 安成 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40293352)
本多 政夫 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (00272980)
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キーワード | Genomics / DNAチップ / SAGE / 癌 / 早期診断 |
研究概要 |
肝発がんに関与する遺伝子群を明らかにすることを目的に、SAGEおよびDNAチップを用いて、培養細胞株、正常肝、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞がん組織において発現している遺伝子のプロファイルを比較解析した。正常肝、肝硬変、肝細胞がんから得られた3つのSAGEライブラリーの94,580tagsを比較し、未知の遺伝子を含む肝細胞がんに特異的な遺伝子群を同定した。26例の慢性肝炎症例のDNAチップ解析では、病理学的に同様な組織像を示しても、発現遺伝子プロファイルは異なっており、大きく分けて2つの異なる病態が存在することが示された。10例の肝細胞がんおよびその非がん部を解析したところ、肝細胞がんに共通して亢進・減弱する遺伝子が示され、がんの形質や分化度と相関する遺伝子群が同定された。9種類の培養細胞によるhierarchial clusteringによる解析では、発現プロファイルは大きく2つのグループに分けられた。予期しなかったことに、このひとつのグループはすべて腫瘍マーカーであるアルファフェトプロテイン陽性の細胞であり、もうひとつのグループはすべて陰性の細胞であった。またクラスター解析によるアルファフェトプロテインの近傍にはinsulin like growth factorやangiotensin receptor遺伝子が見いだされ、肝細胞がんの腫瘍マーカー陽性という、ひとつの腫瘍形質ががん形質と密接に関連している可能性が示された。これらの結果からGenomics技術は、早期肝細胞がんの新たな診断法の可能性を提供するだけでなく、肝発がんの分子機構を解明するのに重要な知見を与えうることが示された。
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