• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

がん細胞膜トランスポーターをターゲットとした化学療法の最適化

研究課題

研究課題/領域番号 12217055
研究機関金沢大学

研究代表者

辻 彰  金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)

キーワードオリゴペプチド / トランスポーター / 抗がん剤 / ベスタチン / グリシルサルコシン / 腫瘍 / ヌードマウス / ドラックデリバリー
研究概要

ペプチドトランスポーターが発現することにより、がん細胞へのペプチド性抗がん剤の移行性が上昇するかを、in vitroおよびin vivoで以下のように検討した。
1.hPEPT1を過剰発現するモデル腫瘍の樹立
ヒト小腸オリゴペプチドトランスポーターhPEPT1cDNAをHeLa細胞にトランスフェクションし、安定発現細胞(HeLa-hPEPT1)を得た。同様に空ベクターでトランスフェクションを行い、陰性対照細胞(HeLa-pcDNA3)を得た。両細胞へのペプチド性抗がん剤[^3H]ベスタチン取り込み活性について検討を行ったところ。HeLa-hPEPT1の取り込みはHeLa-pcDNA3と比較して約5倍に増加した。HeLa-hPEPT1への取り込みは非標識グリシルサルコシンおよび非標識ベスタチンの共存により有意に低下した。更に[^3H]グリシルサルコシン取り込みに対するベスタチンによる阻害効果も検討したところIC50値約0.56mMが得られた。この値はhPEPT1を発現する小腸モデル細胞Caco-2の示すベスタチンのKm値0.34mMとよく一致した。これらの結果からhPEPT1を過剰発現する腫瘍細胞株を樹立できたと考えられた。
2.in vivoにおけるペプチドの腫瘍への蓄積
ヌードマウス(Balb/c nu/nu)の背部皮下にHeLa-hPepT1もしくはHeLa-pcDNA3を移植し腫瘍を形成させた担がんマウスに、ベスタチンあるいは[^3H]カルノシンを投与し30分後の組織対血漿中濃度比(Kp値)を求めたところ、HeLa-hPEPT1移植により形成した腫瘍では、それぞれKp値約2.0および2.5と算出された。この値は細胞間液のみ分布する[^<14>C]イヌリンの値(約0.5)と比べ有意に高いことから、両ペプチドが腫瘍細胞内に取り込まれていることが示された。一方HeLa-pcDNA3移植により形成した腫瘍については、ペプチドの蓄積は認められなかった。
以上の結果より、hPEPT1の発現によりペプチド性化合物の腫瘍への蓄積が上昇する可能性が示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Nakanishi,T.: "Cancer cell-targeted drug delivery utilizing oligopeptide transport activity"Int.J.Cancer. 88・2. 274-280 (2000)

  • [文献書誌] Hirohashi,T.: "Function and expression of multidrug resistance-associated protein family in human colon adenocarcinoma cells (Caco-2)"J.Pharmacol.Exp.Ther.. 292・1. 265-270 (2000)

  • [文献書誌] Ogihara,T.: "Structural requirement of substrates for stereoselective monocarboxylate tranaport in Caco-2 cells"Pharm.Pharmacol.Commun.. 6. 161-165 (2000)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi