1.昨年度に続き、マウス肉腫CMS5腫瘍特異的抗原ペプチド9mに対するT細胞レセプター発現トランスジェニックマウスの系で、抗GITR抗体を、腫瘍接種後に投与した場合に特異的CD8^+T細胞の活性化および分裂が認められると共に、腫瘍の増殖が抑制された。抗GITR抗体は、CD4^+T細胞非存在下でもDUC18のCD8^+T細胞の抗原特異的増殖と活性化を促進し、SCIDマウスの実験系で、CD4^+CD25^-T細胞とCD8^+T細胞による腫瘍増殖抑制を増強した。 2.我々がこれ迄開発検討して来た新規抗原デリバリーシステム、疎水化多糖類との複合体(CHP-HER2)をクリニカルグレードで作製し、第1相試験を行った。予定した9症例の検討を終了し、注射部位の発赤・腫脹を一過性に認めたがその他有害事象は観察されていない。 3.ワクチンを受けた8症例で、投与した組み換えHER2蛋白に対するIgG抗体が免疫後に出現し全ての症例でIgG1抗体が優位であった。抗原mRNA導入自家リンパ球を用いたELISPOT法により、現在までに8症例中5症例で、組み替え蛋白を発現した標的細胞に特異的に反応するCD8^+T細胞またはCD4^+T細胞を、又3症例で両者を検出した。
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