研究課題/領域番号 |
12217065
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (90122407)
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研究分担者 |
切畑 光統 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60128767)
桜井 良憲 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20273534)
木梨 友子 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80252534)
笠岡 敏 帝京大学, 薬学部, 助手 (90338690)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / 硼素化合物 / BSH / BPA / 悪性神経膠腫 / 突然変異 / スコルビン酸 |
研究概要 |
BSHとBPAを同時併用し、熱外中性子ビームを用いた試験的BNCTをGBおよびAAの計20例に計26回実施した。80%以上の例で体積が50%以上縮小し、CR例も得られた。効果は照射後48時間から1週間の間に出現した。線量分布と再発中心の解析から、GTV制御には>45Gy-Eqの線量投与が必要と判明した。前年度に著効を示した耳下腺癌の別症例では、BNCT翌日に灘痛が消失する著効が再び得られた。また、頭皮下から頸部に進展した繊維肉腫の症例に対してもBNCTを行った。線量評価には悪性神経膠腫の場合と同様に、F-BPA PETによって求めた腫瘍:正常組織の集積比を使った。一過性脱毛以上の皮膚反応や脳組織の壊死などの有害事象は現れなかった。リピオドール混合BSH溶液肝動注による肝腫瘍BNCTには非侵襲的硼素濃度推定法の開発が必要だが、BSHと挙動類似の高親水性Gd-DTPAの混合液を用いると、MRI上のシグナル強度の変化により濃度推定できることが明らかになった。全肝に散在する病巣にも熱外中性子束の3方向照射によって、正常肝線量を耐容量の50%以下に抑えつつ、腫瘍には悉く>30Gy-Eqを照射できることも明らかになった。X線照射あるいはBPA-BNCTを行うと、腫瘍組織内圧の低下により薬剤浸透性が改善しBSHによる腫瘍硼素濃度が50%程度増加することが分った。臨床試験での効果が期待される。高LET放射線である中性子やBNCRのα粒子によるHPRT遺伝子の突然変異誘発をアスコルビン酸が効果的に抑制するかどうか検討したところ、X線の場合同様に効果的に抑制することが分った。
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