研究課題/領域番号 |
12217066
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平岡 眞寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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研究分担者 |
大屋 夏生 熊本大学, 医学薬学研究部, 教授 (70281095)
近藤 科江 京都大学, 医学研究科, 研究員(COE)(常勤形態) (40314182)
澁谷 景子 京都大学, 医学研究科, 助手 (50335262)
赤木 清 関西医科大学, 医学部, 講師 (30098115)
原田 浩 京都大学, 医学研究科, 研究員(科学技術振興)(常勤形態) (80362531)
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キーワード | 放射線治療 / 低酸素がん細胞 / がん治療 / 標的特異性 / 遺伝子治療 / イメージング |
研究概要 |
固形腫瘍内に常在する低酸素環境下(固形腫瘍内低酸素領域)では、放射線感受性が著しく低下するため、腫瘍低酸素は癌の放射線治療成績不良の一因とされている。また近年、低酸素は特異的な遺伝子発現を誘導することにより、腫瘍増殖、血管新生、転移を促進する可能性が指摘されている。事実、子宮頸癌、頭頚部癌等の腫瘍内酸素分圧測定を施行した国内外の臨床研究において、低酸素分画の多寡と治療効果や生命予後との間に強い相関が報告されている。一方、治療抵抗性を示す低酸素は通常、正常組織には存在しないため、翻って考えれば、腫瘍特異的な治療標的と成り得る。我々は、独自のアプローチにより低酸素を標的とする新規治療法として、低酸素刺激により遺伝子発現が誘導されるベクターシステムの開発、および酸素依存性の蛋白分解経路を応用した低酸素指向性融合蛋白の開発を行ってきており、動物実験レベルにおいて放射線治療効果の増強が示されつつある。これらの成果を発展させるためには、生体内での高精度な腫瘍低酸素分画の画像化の実現が不可欠である。固形腫瘍内低酸素領域を実験動物で可視化するために、低酸素誘導プロモーターの下流に蛍光タンパク質遺伝子を繋いだプラズミドを構築し、これを安定に組み込んだ腫瘍細胞を樹立した。これを実験動物に移植して形成した固形腫瘍において、低酸素領域で発現する蛍光タンパク質を観察することで、固形腫瘍内低酸素領域を可視化することに成功した(研究発表論文参照)。また同様の低酸素誘導プロモーターの下流に細胞死を誘導するタンパク質をコードする遺伝子を繋いだプラズミドを用いて、低酸素がん細胞を標的とする遺伝子治療モデルを示すことができた(研究発表論文参照)。現在、これらの系をさらに発展させて、bioluminescenceを利用したリアルタイムイメージングによる、固形腫瘍内低酸素領域に特異的な低酸素指向性融合蛋白の治療効果の検証等も行っている(研究発表論文参照)。
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