研究課題/領域番号 |
12217097
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日野田 裕治 山口大学, 医学部, 教授 (10165128)
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研究分担者 |
萱野 幸三 山口大学, 医学部, 助手 (90314799)
山本 光太郎 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (50304481)
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キーワード | MUC1 / ペプチドワクチン / 樹状細胞 / mRNA / CTL / リポソーム |
研究概要 |
本研究では、MUC1ペプチドワクチン療法およびmRNAによる免疫遺伝子治療について検討を行ない以下の結果を得た。 1)切除不能膵癌5例、再発膵癌1例、再発胆管癌3例の計9例において安全にワクチン投与(ペプチド量300μg3例、1000μg2例、3000μg4例)を終了し、第1相試験を完了した。軽微な注射局所の発赤以外副作用を認めなかった。臨床的効果は現時点までの観察で2例の生存例があり、うち1例(300μg投与、胆管癌)で腫瘍マーカーの正常化を認め18ヶ月間ほぼ安定に経過している。9例中2例(ともに3000μg投与)で血清中抗MUC1 IgG抗体価の上昇を認めた。2)GFP mRNAを用いて樹状細胞へのmRNA導入効率を検討した。その結果、mRNA単独ではGFPの発現はほとんど認められなかったが、リポソームの添加によって用量依存性にGFP陽性細胞(%)が増加した。しかし、一定濃度以上では細胞毒性が高まるためGFP陽性細胞が10%程度認められる濃度が至適と考えられた。一方、mRNAの濃度は余り大きく影響しないことが明らかとなった。この条件下で、健康成人末梢血リンパ球から高率に抗GFP CTLが誘導されるため、腫瘍関連抗原分子への応用が可能と考えられた。3)ヒトMUC1 mRNAをマウスに投与して抗体反応を検討した結果、mRNA単独で血清中に抗MUC1ペプチド抗体が証明された。In vitroとは異なりリポソーム添加の効果を認めず、その毒性を考慮すると、mRNAワクチンとして臨床応用するにはむしろ好都合な結果と考えられた。
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