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2000 年度 実績報告書

薬剤感受性と血管新生の分子標的から見たがんの診断と治療

研究課題

研究課題/領域番号 12217105
研究種目

特定領域研究(C)

研究機関九州大学

研究代表者

桑野 信彦  九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80037431)

キーワード転移・血管新生 / 抗がん剤耐性 / 分子標的 / 単球 / マクロファージ / TNFα / IL1 / IL4 / IL13 / MRP2 / MRP3
研究概要

ヒトがんにおいて転移・血管新生ならびに抗がん剤耐性の2つの悪性形質の獲得は治療を困難にしている。そこで我々はがんの血管新生と抗がん剤感受性に関与する分子標的を探索しその構造と機能を明らかにするとともにがん組織での特異的発現の分子機構についても明らかにすることにした。その結果、我々は(1)がんにおける血管新生・浸潤に関して単球/マクロファージや肥満細胞が腫瘍の間質へ出現することが血管新生に重要な関与をしていることならびにTNFα、IL1、IL4、IL13などがIL8やVEGFなどの血管新生促進因子を誘導したり、VCAM/sVCAMの発現を促進するモデルを提示した。(2)薬剤感受性を制御する分子標的としてABCトランスポーターを中心に研究を進めた。P-糖蛋白質の発現にはMDR1遺伝子のプロモーター上の-100付近のCpGのメチル化の有無が重要であることをがん細胞株やがん組織で明らかにした。他方、MRP2ならびにMRP3が大腸がんや脳腫瘍の薬剤感受性を左右する可能性ならびに認識する特異的な抗がん剤を見つけた。
以上のことにより、転移やがん増大とも密接に関連する血管新生に関する研究において、我々は単球/マクロファージの間質への浸潤が幾つかのヒト腫瘍での血管新生と関連することを見出した。その際に、浸潤マクロファージがTPやHO-1を生産しているが、このことと血管新生との直接的な関連については不明である。さらにTNFα/IL1による血管新生促進因子の誘導によるオートクラインとパラクライン制御が実際に生体内の腫瘍血管の新生でおこっているか否かについても、これからの課題である。IL4/IL13が血管新生を誘導する際にVCAMからsVCAMへの生産が関与していることを見出しているがこの生体内での意義についても今後明らかにしていきたい。また抗がん剤の解毒抱合体などの異物排出に関与するABCトランスポーター遺伝子群のうち特にMRP2とMRP3についてそれらが認識する抗がん剤について検討を進めている。その構造と機能について明らかにするとともにヒト腫瘍において薬剤感受性を制御する鍵を握っているか否かを今後検討していく必要がある。さらにMDR1遺伝子で見出しているプロモーター上のCpGメチル化や遺伝子再編成が各れのヒト腫瘍で実際に関与しているか否かを調べ、各腫瘍のP-糖蛋白質発現の個別化に寄与していきたい。と同時にMRP2やMRP3についても同様なアプローチを進め、がんでの個別診断の可能性を探っていきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Nagayama,J., et. al: "Retrovirus insertion and transcriptional activation of the multidrug resistance (mdrla) gene in letukemias treated by a chemotherapeutic agent in vivo."Blood. 97. 759-766 (2001)

  • [文献書誌] Goto,H. et. al: "Gamma interferon-dependent induction of thymidine phosphorylasc/platelet derived endothelial growth factor through gamma-activated sequence-like element in human macrophages."Cancer Res.. 61. 469-473 (2001)

  • [文献書誌] Tada,Y., et. al: "MDR1 overexpression and altered degree of methylation at the promoter region in bladder cancer during chemotherapeutic treatment."Clinical Cancer Res.. 6. 4618-462* (2000)

  • [文献書誌] Hinoshita,E.,et. al: "Increased expression of an ATP-binding cassette superfamily transporter, multidrug resistance protein 2, in human colorectal carcinomas."Clinical Cancer Res.. 6. 2401-2407 (2000)

  • [文献書誌] Fukushi,J., et. al: "The activity of soluble VCAM-1 in angiogenesis stimulated by IL-4 and IL-13."J. Immunol.. 165. 2818-2823 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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