研究課題/領域番号 |
12217121
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
秋山 伸一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117413)
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研究分担者 |
満尾 良一 鹿児島大学, 医学部, 研究機関研究員
中島 融一 鹿児島大学, 医学部, 研究機関研究員
原口 みさ子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10244229)
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キーワード | Thymidine_phosphorylase / 2-deoxy-L-ribose / 2-deoxy-D-ribose / metastasis / invasion / angiogenesis |
研究概要 |
チミジンホスホリラーゼ(TP)を高発現したKB/TP細胞を移植したマウスでは、TPにより腫瘍の悪性度が増したが、2-deoxy-L-ribose(lRib)投与により、腫瘍細胞の播種、浸潤が抑制され、マウスの生存期間の延長が観察された。この効果は、TP発現腫瘍により産生された2-deoxy-D-ribose(dRib)に抑制的に作用した結果と思われる。これまでlRibは、dRibによる血管内細胞の遊走、血管新生の抑制、低酸素下でのアポトーシス抑制の阻害を行うことが確認されてきた。今回、これら作用に加え、lRibは腫瘍の浸潤に関わるMMPファミリーの発現を阻害し、腹膜播種において腫瘍浸潤に抑制的な効果をもたらした。lribの効果はTPIより強力であった。 TPは抗癌剤によって誘導されるアポトーシスに対して抵抗性を賦与する。TP分子の発現は抗癌剤に対して抵抗性を賦与した。またTPによる抗癌剤耐性の賦与は、その酵素活性に関係がなく、TP分子の発現が抗癌剤のアポトーシス耐性に関与していると考えられる。TPの高発現細胞は、cisplatinによって誘導されるチトクロムCの放出を抑制したことから、TP分子が直接あるいは間接的にcisplatinによって誘導されるチトクロムCの放出を抑制していると推察される。TPに結合するアポトーシス関連の分子の存在が推測されるので今後さらに、TP分子と結合する分子を検索していく必要がある。
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