研究課題/領域番号 |
12217163
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
上原 至雅 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 部長 (50160213)
|
研究分担者 |
野口 耕司 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (80291136)
村上 裕子 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 主任研究官 (00142133)
深澤 秀輔 国立感染症研究所, 生物活性物質部, 室長 (10218878)
|
キーワード | MEK阻害剤 / apoptosis / anoikis / Bim / 乳がん / ERK / anicequol / spicamycin |
研究概要 |
MEK阻害剤が、ヒト乳がん細胞2株に対し、非接着状態でのみapoptosis、即ちanoikis感受性を誘導する機構を明らかにするため、apoptosis関連蛋白質の変化を調べた。MEK阻害剤処理によりBH3-only proteinの一つであるBimELの蛋白量が増加していた。BimEL量は接着の有無に関わらず増加したが、非接着状態でのみミトコンドリアに移行した。またMEK阻害剤処理によりBimELのリン酸化が低下することが予想された。In vitroでBimELはERKによりSer 69がリン酸化されたので、リン酸化特異的抗体を作製し、この残基が実際に細胞内でもリン酸化されていることを確認した。さらにこのリン酸化はユビキチン化の引き金になっていることが明らかとなった。anoikis感受性が誘導されるがん細胞株では、もともとのBimの蛋白レベルが非常に低く、これらの細胞ではMEK-ERK経路の活性化によるBimELのリン酸化、分解促進がanoikis回避の主要な機構であると考えられた。以上から、Bimはanoikis誘導の重要な決定因子であり、MEK阻害剤感受性予測の指標となることが示唆された。一方、がん化シグナル特異的阻害剤の探索を行い、spicamycinの新規類縁体を見出した。また、真菌由来の新規テルペノイドanicequolが大腸がん細胞株にanoikisを誘導することを見出した。
|